フルート奏者・渡久地圭さん、沖縄らしいクラシック音楽を根付かせたい
フルート奏者・渡久地圭さん、沖縄らしいクラシック音楽を

フルート奏者として活動する渡久地圭さんは、ドイツとウィーンでの10年以上にわたる研さんを経て2012年に沖縄へ戻り、自身の演奏活動と並行してクラシック音楽の公演を企画する一般社団法人ビューローダンケを立ち上げた。「沖縄らしいクラシック音楽を根付かせたい」との思いから、琉球古典芸能との共演や街中で上演するオペラなど、さまざまな公演に取り組んでいる。

フルートとの運命的な出合い

渡久地さんは本部町出身で、両親は中学校の教師だった。幼稚園の頃には「ピアノを習いたい」と両親に懇願していたという。フルートとの出合いは小学3年の時、音楽の教科書の裏表紙に掲載されていたフルートの写真に惹かれたことがきっかけだった。「それまで実際にフルートを演奏する姿を見たこともなかったし、生で聞いたこともなかった」と振り返る。身近にフルートがなかったため、小学校の縦笛をフルート風に横吹きしたり、工作でフルート風の楽器を自作したりした。小学5年の時に両親がフルートを買い与えてからはフルート一筋の道を歩み、開邦高校芸術科音楽コースを経て武蔵野音楽大学へ進学した。

ウィーンで得たインスピレーション

武蔵野音楽大学卒業後、クラシック音楽の本場ヨーロッパで学ぶため渡欧し、ドイツのデトモルト音楽大学やウィーンで10年以上を過ごした。ウィーンで体験した豊かな音楽芸術環境が大きなインスピレーションを与えたという。「当時、ウィーン国立歌劇場の立ち見席では、300~400円でオペラが鑑賞できたんです」。ジーンズ姿の若者、分厚い楽譜を抱えた少年、毎日のように劇場へ足を運ぶ70代の女性など、誰もが音楽芸術に身近にアクセスし楽しんでいる姿に感銘を受けた。

琉球古典芸能との共演と今後の展開

「沖縄らしいクラシック音楽」を発信することもビューローダンケのテーマだ。「自分は沖縄出身なので、西洋の伝統音楽であるクラシック音楽を勉強して演奏しても、沖縄独自のクラシック音楽の語り口というか、『訛り』のようなものがにじみ出てくる。でも、これがなければ、まねでしかないんです」と語る。琉球古典芸能との共演も重要なプロジェクトで、ウィーンから演奏家を招き共演する「おとゆい」プロジェクトは代表的なシリーズとなっている。11月には、モーツァルトのオペラ「魔笛」をベースに舞台を首里城周辺に置き換えた「まちオペラ 首里杜の魔笛」を首里城周辺で上演する予定だ。