[社説]知事選・平和行政と教育 沖縄戦の教訓をどう継承するか
[社説]知事選・平和行政と教育 沖縄戦の教訓継承

沖縄戦の歴史的教訓から「平和行政」は県政の重要なテーマの一つとなってきた。1975年に糸満市摩文仁で開館し、その後2000年に移設・改装された県平和祈念資料館と、石垣市の八重山平和祈念館は、再リニューアルに向けた作業が進められている。首里城地下にあった第32軍司令部壕の保存・公開に向けた議論も進む。

戦後81年、資料館や戦争遺跡の重要性高まる

戦後81年が経過した。資料館や戦争遺跡などを通し戦争の実相に触れる機会はますます重要になっている。知事選の主要2候補は、平和行政への取り組みについても掲げる。

古謝玄太氏は「体験者の証言をデジタルで記録して多言語で残し、戦争史跡や慰霊碑を平和学習の場として整える」とする。玉城デニー氏は「地域の戦争遺跡の保存・整備・活用のほか、32軍壕の保存公開と平和発信への有効活用を進める」とする。

体験者の高齢化と史実を歪める言説への対抗

戦争体験者は高齢化し当時の記憶を直接語れる人は少なくなった。そうした中で史実をゆがめるような政治家の発言が続いている。ネット上でも証言や記録を「ねつ造」とする言説が流布されている。背景には、戦争を美化しようとする政治的意図や、沖縄への差別がある。

逆風にあらがい、沖縄戦の教訓をどうつなぐのか。取り組みの充実が求められる。

「沖縄のこころ」と平和教育の岐路

悲惨な沖縄戦の体験と苦難の戦後史を経て培われたのが、平和を希求する「沖縄のこころ」だ。民間人や軍人、国籍を問わず沖縄戦で亡くなった全ての人々の氏名が刻まれる「平和の礎」や「沖縄平和賞」の創設などで内外に示してきた。各地で戦争が絶えない。平和の発信力も問われる。

古謝氏は「平和拠点としての平和創造センターの設置・誘致と、国際会議の誘致を進める」という。玉城氏は「恒久平和に貢献する沖縄ビジョンを策定し、平和のための地域外交を展開する」という。足元では、沖縄戦と基地問題を一体的に学ぶ「沖縄独自の平和教育」が岐路に立たされている。

重要なのは、住民視点を大切に過去から現在までの歴史を学ぶことだ。「沖縄のこころ」を後世につなぐためにも平和教育の在り方についても議論を深めてほしい。

戦後処理と国の責任

戦後処理も進めなければならない。今も本島南部を中心に多くの遺骨が埋もれたままだ。名護市辺野古の新基地建設を巡っては、市民団体が埋め立て土砂の調達候補地の中から本島南部を外すよう政府に求めている。県議会や市町村議会で同様の意見書が可決されたが、政府はまだ返答していない。

不発弾処理もいまだに終息が見通せない。国の責任を問う必要がある。返答や戦後処理への対応を迫るべきだ。