辺野古転覆事故で「生徒の乗船に沖縄県関与」は誤情報 2026知事選ファクトチェック
辺野古転覆事故「県関与」は誤情報 知事選ファクトチェック

13日投開票の県知事選を巡り、県外発信の動画で中国脅威論と並んで目立つのが、3月に同志社国際高(京都府)の女子生徒らが亡くなった辺野古転覆事故だ。SNS上では県知事選に絡んで真偽不明の情報が飛び交っており、主な言説をファクトチェックの手法で検証する。

「県の予算で実施」は誤り、第三者委が判明

事故では「ヘリ基地反対協議会」が辺野古新基地建設の反対運動で使ってきた2隻の船(不屈、平和丸)が転覆した。協議会は普天間基地の閉鎖撤去と県内移設断念などを求める「オール沖縄会議」の構成団体の一つで、オール沖縄会議は政治勢力の「オール沖縄」と同一ではないが、玉城デニー氏などを支持するメンバーと重なる。

このため、政治や行政の関与が疑われ、SNS上では「県の予算で実施している」「女子高生が殺された。沖縄県庁は責任を取れ」といった情報が流れた。

しかし、同校の第三者委員会(学校法人同志社が設置した弁護士による特別調査委員会の報告書、2026年7月31日)などの調べで、生徒たちの乗船は、キリスト教でつながる同校と不屈船長(牧師)個人の間でやりとりされていたことが判明した。県は金銭面も含めて協議会に関与しておらず、県や知事が生徒の乗船に関わったとするのは誤情報だ。

識者「短絡的」、謝罪ないとの批判も不正確

識者も「知事や基地反対運動の責任に持っていくのは短絡的で、あいまいさを残していると、誤情報につけ込まれる隙を与えることになる」と指摘する(ファクトチェック・イニシアティブの瀬川至朗理事長)。

「遺族への謝罪は一切ない」と協議会の対応を批判する投稿もある。遺族への直接の謝罪が実現できていないことは確かだが、共同代表らは会見などでおわびを繰り返し表明しており、謝罪が一切ないというのは不正確だ。

SNS上には、協議会を批判するコメントと合わせて、笑みを浮かべたり、たばこを吸ったりしているような加工がされた偽画像まで投稿された(画像は一部加工しています)。

玉城氏の「笑い」映像は別テーマ、報道も通常対応

協議会側も事故が起きた経緯の説明に消極的だ。SNS上では「不都合な真実を隠し、事故を風化させようという空気が今の沖縄の政治を覆い尽くしている」(約390万回表示の動画)などと、オール沖縄勢力に対する疑念や批判の投稿が拡散している。

投稿でよく使われているのが、6月11日の記者会見(玉城デニー知事定例記者会見、2026年6月11日、25分すぎから)で玉城氏が笑った場面の映像だ。「遺族が公開質問してもすぐには答えず、それを聞かれた会見では笑いすら漏れた」と説明を加えている。

ただ、玉城氏が笑っている映像は、質疑が事故以外のテーマに移った後のもの。事故と結びつけるのは誤情報と言える。

事故を巡っては、沖縄メディアが「報じていない」という情報も相次いだ。亡くなった女子生徒が乗っていた平和丸の船長は、4年前に共産公認で村議選に立候補したことがあった。この平和丸の船長を実名報道していないことなどが理由だ。

しかし、現時点で平和丸の船長については任意捜査が継続中で、身柄を拘束はされていない。琉球新報を含め多くのメディアでは、警察などの捜査機関が逮捕して身柄を拘束した段階で「容疑者」として実名を報じる。この段階での匿名報道は通常の対応だ。誤情報が飛び交った2024年の兵庫県知事選でもSNSでメディア不信があおられたが、「メディアにとってこの事故は都合が悪すぎる」というのは根拠不明の印象操作だ。