辺野古沖で米軍パラ訓再開 降下訓練の危険性を再認識せよ
辺野古沖で米軍パラ訓再開 危険性再認識を

在沖米海兵隊が、名護市辺野古沖の米軍キャンプ・シュワブ訓練水域でパラシュート降下訓練を実施した。同海域での降下訓練は2009年以来、17年ぶりとみられる。津堅島沖でも実施が確認された。降下訓練の安全確保は本当に成り立つのか、いま一度関係機関で認識を合わせて対応を再検討すべきだ。

SACO合意と海上降下訓練の位置づけ

米軍のパラシュート降下訓練をめぐって、陸上への降下については1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で、米軍伊江島補助飛行場で実施することが日米間で合意された。一方で、海上への降下については、米軍はSACO合意の対象外との立場で、日本政府も米側の見解を踏襲している。

沖縄県は2009年の辺野古沖降下訓練の際には、SACO合意に基づいて伊江島で実施すべきだとして、米軍側に訓練中止を申し入れた。だが今回、玉城デニー知事は「日米で合意されている事項」だとしてシュワブ海域での訓練を容認する姿勢を示した。

知事の姿勢転換と説明責任

玉城知事には、従来の中止要請から姿勢を転じた理由について丁寧な説明が求められる。さまざまな日米の訓練が実施・強化されている沖縄の現状を踏まえた上で、降下訓練の危険性をあらためて認識し直す必要がある。沖縄県はSACO合意の趣旨を前面に、安全確保の観点から中止を要請すべきだ。

県への沖縄防衛局の説明によると、米軍は「現下の安全保障環境を踏まえ、即応性を維持する観点から訓練を再開する」と伝えてきたという。

疑問点と住民の安全

辺野古での訓練が確認されなかった17年間、海兵隊員は訓練をどうしていたのか。なぜ今回辺野古沖だったのか。他の場所で実施していなかったのか。これらの疑問点に海兵隊は答えるべきだ。

津堅島沖での降下訓練は空軍が実施したとみられる。津堅島沖での訓練は常態化している。軍種で訓練場所を住み分けるのは軍側の都合であり、住民の安全への視点を欠いた判断だ。地域との共生や安全を考えるなら米軍側も最大限、丁寧な説明があってしかるべきではないか。「安全保障環境」という決まり文句で何でも説明しようとする姿勢は到底受け入れられない。

歴史的な危険性とSACO合意の趣旨

空から人や物資が頭上に落ちてくる危険性と恐怖は、歴史の経験からわれわれは知っている。米軍は日本復帰前から、米軍読谷補助飛行場で降下訓練を実施してきた。1965年に米軍が投下したトレーラーの下敷きになって少女が死亡する事故も発生した。その危険性から沖縄県は降下訓練の中止を再三求めてきた。95年の少女乱暴事件を契機に日米両政府が沖縄の負担軽減を話し合うSACOで降下訓練の移転も合意された。

負担軽減、安全確保を理由としたSACO合意の本来の趣旨を、日米、そして沖縄も交えた場であらためて確認すべきではないか。陸上でも危険なものは海上でも同様に危険だ。それは辺野古沖でも津堅島沖でも許されるものではない。