那覇「GIG昭和」閉店、25年半の歴史に幕 オーナー語る宝物
那覇「GIG昭和」閉店、25年半の歴史に幕 オーナー語る宝物

那覇市泊のライブハウス「GIG昭和」が6月末、約13年の歴史に幕を閉じた。オーナーの金城忠則さん(60)は、那覇市内の別の場所で営んだ前身の「ROFT」「Royed」時代を含め、25年半にわたって沖縄のバンドやアーティストに表現の場を、観客には非日常の時間を届け続けてきた。

「この年齢になっても、下は20代まで幅広く交友関係を持てていることが一番の宝物」。そう振り返り、長年立ち続けたライブハウスの第一線を退いた。

壁を埋め尽くすインディーズCD300枚

地下に広がるGIG昭和の店内。壁には、ミュージシャンのCDがずらりと並ぶ。その数は300枚以上。ほとんどが、インディーズミュージシャンが金城さんに「聴いてほしい」と手渡したものだ。四半世紀にわたるライブハウスの歴史が刻まれた“プチ博物館”でもある。「せっかくもらったんだから、これをみんなに披露しないわけにはいかんでしょう」と金城さんは笑う。

コロナ禍で経営が厳しくなり、2020年には正式に店を売ろうと決めたこともあった。買い手の候補は何人か現れたが、最終的な売買には至らず「じゃあもう、やるしかなくなっちゃったなと、しぶとく続けてきた」という。今回は経営面ではない「一身上の理由」で身を引くことに決めた。「もしも宝くじが当たったとしたら、子ども食堂をやりたいな」と話す金城さん。自身のライブハウス人生に十分満足した結果であるがゆえの目標でもある。

「元若者」の帰ってくる場としても

筆者も、金城さんに高校時代からお世話になっていた一人だ。高校1年生の時に地元の友人とバンドを組み、曲を作り、スタジオで練習し、さてライブをしようと発表の場を求めた先が、当時、金城さんが那覇市曙で経営していた「ROFT」だった。

高校生を取り巻くバンド活動の状況は当時、現在とはまるで違った。今なら、バンドがしたければ軽音楽部に入部して、部活の一環で音楽に取り組み、高校の名前を背負って年に何回かある大会に出場する、というケースが主流だ。しかし、当時の高校生のバンド活動の場はほぼ週末のライブハウスが占めていて、より「学校外の自主活動」という側面が強かった。違う高校の生徒のみならず、大学生や大人のミュージシャンとも同じ条件で出会え、関係性を築ける楽しさがあった。

筆者と同じように、金城さんに「高校生からお世話になっているんです」という県内ミュージシャンは多い。やがて大人になって環境の変化で音楽活動を中断したとしても、また始めてみようかなと思い立った時には、変わらず金城さんがニコニコと待っていてくれる。金城さんのライブハウスは、そんな「元若者」のミュージシャン活動を支える場にもなっていた。

最後のライブは「ビールを空に!」

GIG昭和最後のライブは6月28日にあった。出演したバンド「Another Starting Line」のメンバーがMCで「今日は最後なのでお店のビールを空にして帰りましょう」と呼びかけ、その言葉通り、ビールサーバーは空に。別のバンドで出演していた、前身ライブハウスの元スタッフは「昔こっそりお店のビールを飲みました。すみませんでした!」と懺悔し、金城さんが「無罪放免」とするような笑顔で応じる一幕もあった。

ライブ終了後も、店内の景色や雰囲気、匂いまでも惜しむように、多くの観客や出演者がその場に残り続けた珍しい夜。バーカウンターに立つ金城さんは、写真をせがまれたり、思い出話に花を咲かせたりと、大忙しだった。

「GIG昭和」があった空間は、8月から新しいライブハウス「REIN」として生まれ変わっている。沖縄の音楽シーンを地下から担う。