愛知・名古屋アジア大会のレスリング男子グレコローマンスタイル97キロ級で、県出身の仲里優力選手が金メダルを獲得した。日本勢の重量級では1986年ソウル大会以来、40年ぶりの快挙で、アジア大会のレスリングで県勢が金メダルを手にするのも初めてとなる。
逆転勝ちと完封で頂点へ
準決勝ではイラン選手に先行されながらも後半に逆転。決勝ではインド選手を4-0で破り、相手に1点も許さなかった。
腰から下への攻撃が禁止されているグレコローマンスタイルは正面からがっちり組み合うことが多く、体格的に日本勢には不利とされている。重量級で勝ち進むのはさらに難しいと言われてきたが、仲里選手は組み手で相手をいなし、隙を突いて攻撃に転じる形で勝ち抜き、世界でも戦えることを示した。
沖縄の子どもたちへの影響
8月に那覇市内で開かれた壮行会では「僕ができるのは成績を残し、沖縄の子どもたちが憧れる選手になること」と語っていた。北部農林高校時代には全国総体やJOC杯など主要大会で県勢初の「高校5冠」を達成している。
レスリングに興味がある子どもはもちろん、全ての子どもたちにとっても、アジアの頂点にたどり着いた先輩の存在は大きい。仲里選手は26歳。目標とする2年後のロサンゼルス五輪に向け、大きく飛躍してほしい。
県レスリング界の発展
県内におけるレスリングは、79年の県レスリング協会の設立を起点に発展してきた。県立北部農林高校で初めてのレスリング部が創設されて以降、選手育成、競技人口の拡大を目指している。転機は2010年に県内で初めて開催された「美ら島沖縄総体」で、県勢初となる学校対抗戦3位、個人戦でも複数が上位に食い込む活躍を見せた。
協会活動を支える一人、屋比久保さんは「高校から競技を始めたのでは全国に勝てない」と沖縄総体の7年前から小中学生対象のレスリング道場を開き、鍛え上げてきた。その取り組みは結実し、21年の東京五輪では教え子の一人で、息子でもある屋比久翔平選手がレスリングでは県勢初出場で銅メダルに輝いている。
大会の意義と平和への願い
アジア大会には45の国・地域から1万5千人以上が参加。参加国は東の日本から西の中東地域にまたがり、人数は五輪を上回る規模だ。大会は戦禍によって引き裂かれたアジア諸国の絆をスポーツを通して取り戻し、平和に寄与したいという願いから始められた。
しかし、第20回となる今回は米国とイスラエルによるイラン攻撃など、中東で混乱が続く中での開催となった。その大会も明日までとなる。大会での交流の成果を地域の平和にもつなげてほしい。