[社説]「青パト」10年 事業の妥当性を検証せよ
[社説]「青パト」10年 事業の妥当性を検証せよ

内閣府の「沖縄・地域安全パトロール事業」(青パト事業)が開始から10年を迎えた。目的も効果もあいまいなまま、漫然と巨費が投じられている。沖縄振興という枠組みで、本当に県民のためになっているのか疑問が残る。

事業の概要と実績

この事業は、2016年にうるま市で起きた米軍属による女性暴行殺人事件を受け、悲惨な事件を繰り返さないために始まった。沖縄総合事務局などが雇用する青パト隊員が、青色回転灯を付けた車両を使い、夜から明け方にかけて繁華街などをパトロールしている。

事業開始当初は1日常時100台で実施していたが、現在は延べ75台態勢。沖縄総合事務局によると、2016年6月からの10年間で隊員が県警に寄せた通報は3148件で、大半を一般泥酔者対応が占めている。このうち米軍関係の通報は20件にとどまり、逮捕に至った事例については把握していないという。

費用対効果への批判

青パト事業に計上された予算は、多い時で年間8億6千万円。徐々に縮小し、ここ数年は4億円前後で推移しているが、1日当たりに換算するとおよそ230万~110万円となる。米軍人・軍属らの刑法犯摘発件数は、2025年が101件で2003年以来の100件超えとなった。2016年は23件だったことを考えると、結果として費用に見合った効果は上がっていない。

1年間、青パト隊員として働いた経験のある男性は本紙の取材に「巡回中に米兵らしき人がいても、見て見ぬふりだった」と証言している。警察権を持たない隊員の巡回にどれだけの効果があるのか、疑問は当初から問われ続けている。

検証の欠如と今後の課題

毎月のように物の値段が上がり物価高が家計を直撃する中、税金の使い方として納税者の理解が得られるのか。米軍関係者による犯罪を防ごうと始まった対策に、沖縄振興予算から支出するのもふに落ちない。費用対効果や優先度など批判が高まる中、政府は2020年になって「特定の者を対象に行うものではない」との見解を示したが、抑止効果の検証は行われていない。

近く知事に就任する古謝玄太氏は、首相を除く全閣僚と知事が基地負担軽減や振興策を話し合う「沖縄政策協議会」の再開を強く要望している。政策協は、仲井真弘多知事時代の2013年12月を最後に開かれていない。13年近く止まった協議会を動かすのであれば、米軍絡みの犯罪を防止するための具体的で実効性のある対策と、真に県民のためになる施策について突っ込んだ議論が求められる。疑問の多い青パト事業については、効果の徹底的な検証とともに妥当性を問うべきだ。

出典:www.okinawatimes.co.jp