<社説>知事選公開討論会 有権者の関心事に応えよ
<社説>知事選公開討論会 有権者の関心事に応えよ

9月13日投開票の県知事選挙は、27日の告示まであと8日に迫った。18日までに7人が立候補を表明し、他にも検討する動きがあり、混戦が予想される。主軸となる現職の玉城デニー氏(66)、新人で前那覇市副市長の古謝玄太氏(42)、新人で元衆院議員の下地幹郎氏(65)は、それぞれ政策を発表し論戦を本格化させている。

前回選挙から状況変化

前回選挙は新型コロナウイルスの影響下で、行動制限がある中での選挙戦だった。4年前と比べ、沖縄の社会・経済状況は大きく変わっている。コロナ禍を経て観光や経済は回復に向かう一方、全国と格差のある所得水準や高い子どもの貧困率など課題は山積する。国際情勢の不安定化が続き先行きが見通せない中、物価高騰を受けた県民生活の支援策も求められる。

公開討論会で3氏が訴え

琉球新報、沖縄テレビ放送、ラジオ沖縄の3社は17日、選挙戦の主軸となる3氏を招いた公開討論会を開催し、争点を探った。力点を置く政策に違いはあるが、いずれも視線は県民の暮らしの向上にある。

玉城氏は2期8年の実績を強調しつつ、公共交通システムの整備や、既存の社会保障制度の隙間から漏れる県民を支援する独自基金の創設を掲げた。「経済成長の恩恵が県民に行き渡る循環型経済を模索する」と県政継続を訴えた。

古謝氏は1人当たり県民所得の倍増を掲げ、経済界と連動した基地跡地利用推進や新産業構築、高い物流コストなど沖縄の構造的問題の解決に切り込む。「若者や子どもが夢を諦めない社会をつくっていける」と県政刷新を訴えた。

下地氏は子どもの貧困や基地問題を解決できない現県政、沖縄関係予算を減額し続ける自民党政権を批判し、子どもの支援を柱に据えた施策の展開を目指す。「生活の負担を減らす。合理的な当たり前の政策を進める」と打ち出した。

基地問題と有権者の関心

前回選挙に引き続き、米軍普天間飛行場の危険除去策は立場の違いが鮮明となった。普天間の返還に伴う名護市辺野古の基地建設に、玉城氏は反対、古謝氏は容認の立場を示した。下地氏は現行計画を見直し、「民軍共用空港」化を掲げた。加速化する自衛隊の南西シフトと合わせ、基地や安全保障面の施策展開は大きな論点となる。

討論会の開催に当たり、立候補予定者に対して有権者から多くの質問が本紙に寄せられた。子育てや交通、経済、有機フッ素化合物(PFAS)問題など、有権者の関心事は多岐にわたる。3氏は有権者の多様な声を踏まえ、選挙戦で活発な論戦を展開し、投票率の向上に努めてほしい。

県知事は沖縄の顔だ。そして、選挙戦の公約は文字通り有権者との「約束」である。大風呂敷を広げて、当選後に翻してしまっては政治不信につながりかねない。政策を推進できる具体的な根拠は何か、予算の裏付けはあるのか。分かりやすく、丁寧に説いていくことが各立候補予定者に求められている。