避難所指定体育館の冷房、災害に備え対策加速を 社説
避難所指定体育館の冷房、災害に備え対策加速を

災害時に地域の避難所となる小中学校の体育館には、避難住民の心身を守るための快適な環境が求められている。災害関連死を防ぐためにも、国の責任で環境整備を進める必要がある。

全国の897市町村で冷房設置率0%

文部科学省のデータを分析すると、災害時の避難所指定を受けている公立小中学校について、5月時点で全国の少なくとも897市町村の体育館や武道場の冷房設置率が0%だった。教室への設置は進んだが、避難指定校の体育館や武道場で設置済みは33%にとどまる。暑さの厳しい時期は、熱中症の危険性が増している。

沖縄は41市町村のうち、9割に当たる37市町村の体育館・武道場の冷房設置率が0%だった。県設置の同様の施設も0%だった。

県内の設置率は1.6%、那覇市は全て未設置

冷房を設置した体育館や武道場があるのは、うるま市、恩納村、宜野座村、嘉手納町の4市町村のみ。対象の施設が68棟と最も多い那覇市は、全てで冷房が未設置だった。県内市町村全体の設置率は、365棟中6棟で、1.6%。県内は、ほぼ設置されていないと言える状態だ。

冷房設置が進まない背景には、費用負担の重さや資材高騰がある。少子化に伴う学校統合、冷房施設導入よりも耐震改修が優先されていることも関係している。

自治体や地域ごとで設置率が大きく異なる。東京など財源の豊かな地域では設置率の高さが目立ち、23区は大半が100%となっている。それに対し、財政力の弱い離島や山間部の自治体ほど設置が進んでいない。沖縄の場合は離島が多く、財政力が豊かとは言えない自治体が多い。27年間にわたる米統治も施設整備の遅れにつながったとみられる。

国は目標前倒し、計画的な実行が課題

公立学校で公平に学ぶ環境を確保するためだけでなく、災害時の対応の観点からも、地域を問わず、国が積極的に整備が遅れている自治体の支援に当たるべきだ。

学校の冷房設備について、政府は児童生徒の熱中症対策の一環として、1990年代後半から校舎への冷房設置に本格的に取り組んできた。その結果、普通教室の設置率は公立の小中学校で99.6%に上る。一方で、教室を優先したことや、関連費用の高さから、体育館や武道場への導入は遅れている。

国は気密性を高めることなどを条件に交付金を配分し、設置費を最大で半額肩代わりしている。だが、自主財源の乏しい自治体にとって国からの補助があっても整備は容易ではない。

政府は、小中学校体育館などの冷房設置率を2035年度までに100%とする目標を5年程度前倒しにする方針だ。計画を着実に実行に移していくことが求められる。

9月28日で発生2カ月となった熊本地震では、避難所が400カ所以上開設され、多くの人が避難した。避難所の環境整備は、豪雨や地震などの災害が相次ぐ中、これまで以上に重要となった。災害時に住民の命を守る対策に、政府は優先して取り組んでもらいたい。

出典:ryukyushimpo.jp