古謝玄太知事は就任後初の県議会定例会で就任あいさつを述べ、「沖縄の課題を解決し、可能性を伸ばす」と県政運営の決意を示した。知事選での過去最多得票に県民の期待の高さが表れる。掲げた公約の着実な達成を果たしてもらいたい。その前提となるのが基地返還の促進だ。
3本柱と三つの目標
古謝知事は沖縄を前に進めるため「沖縄をまもる」「沖縄をひらく」「沖縄をつなぐ」の3本柱を示した。「まもる」は物価高への対応、健康長寿の復活など県民生活を守ることを指す。「ひらく」は新産業の創出、交通ネットワークの充実、離島振興で経済を伸長させる意図だ。「つなぐ」は県政と県民の連携で沖縄の力を発揮していくとの考えだ。
3本柱の効果を県民に実感してもらうために「三つの目標」を数値で示したのは「古謝カラー」の表れだろう。今後10年で1人当たり県民所得500万円、4年間で子育て予算1千億円を達成し、今後8年間で観光収入2兆円を目指す。具体的に数値を掲げたのは県民に分かりやすい。全庁で達成していくとの決意の表れとも受け取れる。
経済政策と基地問題
知事選で支持を集めたのは「県民所得倍増」など、経済政策や暮らし支援の公約が評価されてのことである。就任あいさつで述べた内容も、おおむねこれらを実現していくとの方向性である。当然、その実行力が問われることになる。示した目標の達成度を随時検証し、県民に公表しながら実現を図ってほしい。
あいさつの冒頭、海兵隊員が強盗殺人容疑で逮捕された事件に触れて抗議し、日米地位協定の見直しを含めた実効性ある抜本対策を求めた。地位協定の見直しは歴代知事が取り組んできた県政の懸案だ。政治的立場を超えた県民全体の求めである。これまでの県政の積み上げも踏まえ、国を動かしてもらいたい。
基地負担軽減と平和行政
基地負担の軽減については主要政策10分野の中の1分野として構えた。米軍普天間飛行場の辺野古移設を容認する考えを示した。軟弱地盤にかかる難工事など、実現性を巡る課題が残されている。そのことへの見解も示さなければならない。
「嘉手納基地より南の施設・区域の返還の着実な実施を国に求める」と約束したことは重要なポイントである。米軍牧港住宅地区の返還・再開発、北谷西海岸の米軍基地返還と開発は大きな経済効果をもたらした。中南部の基地返還を着実に進めることは、掲げる所得倍増の実現にも資するものである。
古謝知事は当確直後のインタビューで、過重な基地負担を全国民に認識してもらいたいと述べた。この認識に基づき、安保政策の強化を進める政府によるアメとムチと言えるような政策に絡め取られることなく、基地返還を実現させるべきだ。
平和行政に関する具体的な言及がなかったのは残念だ。沖縄戦体験を踏まえ、平和構築を目指す施策展開は沖縄県行政の基本でなければならない。議会中、平和行政への姿勢を示してほしい。