古謝玄太氏が沖縄県知事に就任する。歴代最年少の42歳で、沖縄の日本復帰後生まれの世代が県知事に就くのは初めてだ。新たな県政の出発を祝福するとともに、多様な県民意思に沿う県政運営を古謝氏に求めたい。
暮らし支援と経済政策が支持を得る
古謝氏の知事選勝利は、暮らし支援や経済政策が県民の支持を得た結果だったと言える。物価高騰の中、厳しい生活実感の中で県民は県政刷新を求めた。
古謝氏は「物価高から県民生活を守る」と訴え、「県民所得倍増」を掲げた。その達成には10年を見込むが、県民の暮らし向きをどのように支援し、上向かせていくかは喫緊の課題だ。子育て世代の負担を軽くしていくとも約束した。小規模零細、中小企業の支援とも合わせ、就任後に猶予なき対応が求められる。
基地問題への向き合い方
在沖米軍基地の整理縮小、日米地位協定の改定という沖縄県知事の命題にも向き合わなければならない。
米軍普天間飛行場の危険性の除去に向けて名護市辺野古移設を容認し、普天間飛行場の返還期日の明確化を掲げた。返還合意から30年が経過してもいまだ果たされていない。返還日の明示は飛行場の閉鎖まで着実に進め、跡地利用を迅速に進めるために重要である。県民世論を背に政府に迫ってほしい。
本来であれば、返還期日は日本政府が示さなければならないはずだ。政府が危険性除去を返還理由としているのだからなおさらである。しかし、普天間飛行場をはじめ、経済発展の可能性を秘めた本島中部で日米合意である基地返還が進まない。
政府や国民に、日米安保体制の維持のため、沖縄への基地押し付けを是とする考え方はないか。古謝氏は辺野古移設を容認する立場だが、県外移設も可能であったとの認識を示している。「沖縄の過重な基地負担は全国民に認識してほしい」とも述べた。多くの県民に共通する願いだ。広く発信してもらいたい。
沖縄政策協議会の開催と県政の課題
県政の訴えを政府に伝えるため、古謝氏は政府と県による沖縄政策協議会の開催を求め、政府はその方向で準備を進める。沖政協は仲井真弘多県政時の2013年以来開かれておらず、年内開催となれば13年ぶりだ。
翁長雄志、玉城デニー両県政での開催はなかった。自民党などが支援し、辺野古移設を容認する知事が誕生すれば、沖縄の振興を含む議題も取り扱う沖政協を開催する。運用の恣意性が指摘されている。
沖縄関係予算についても古謝知事の誕生で政府は増額する考えだ。政府との協調路線への見返りを意味していよう。政府の対応は知事の政策実現を促すはずだ。しかし、国と地方の関係として健全だろうか。
古謝氏は選挙で「停滞の県政を前進の県政に」と訴えた。辺野古新基地問題での対立を解消し、沖縄振興を進めるとの意味を含んでいよう。しかし、県政が政府に付き従うことを約束するものでもない。多様な県民の声を聞き、政府との健全な関係を築いてほしい。