沖縄県知事選挙は投開票まで4日となった。平和を希求する「沖縄の心」をどう次世代へ継承するか、戦後日本の政治的基盤を成してきた憲法とどう向き合うか。沖縄のリーダーの姿勢は有権者の大きな判断材料となる。
平和行政の継承と課題
沖縄戦体験に基づく平和行政は県行政の中で重要な位置を占めてきた。新人の古謝玄太氏は「戦争史跡や慰霊碑の施設整備を含む適切な維持管理」「平和発信拠点機能を持つ平和創造センターの設置・誘致」を挙げ、国際会議や国際機関誘致も訴える。
現職の玉城デニー氏は「戦争遺構の保存・整備・活用」や平和学習の充実を掲げた。広島県が主導し、核兵器廃絶を進める国際団体での取り組み強化など、手がけた公約の拡充を誓う。
体験者の減少と言説の広がり
沖縄戦の史実と教訓、戦後体験の継承は曲がり角にきている。体験者が年々減少していく中、沖縄の歩みを否定・愚弄するような言説が飛び交っているからだ。
「ひめゆりの塔」の展示を巡り、自民党参院議員が昨年、「歴史の書き換え」と発言し、県内で批判の声が上がった。沖縄戦の史実をゆがめ、生存者の証言や沖縄戦研究を否定するような言説は交流サイト(SNS)でも拡散される。
平和教育の在り方と事故の影響
京都府の高校生ら2人が亡くなった今年3月の辺野古沖小型船転覆事故以来、平和教育、平和行政の在り方が厳しく問われている。事故原因の究明、再発防止の論議を飛び越え、「偏向」「反日」という平和教育への攻撃がネット上の言論空間で渦巻く。今後の平和教育の在り方を候補者はどのように考えるか。
古謝氏は安全指針の整備と周知・点検の徹底で平和教育の学びを守っていくとの考えだ。現地で学ぶ重要性も認め、基地問題も含めて、賛否ある問題は両方の意見を学ぶことが望ましいとした。
玉城氏は県として再発防止策を検討した上で平和教育を今後も継続すべきとの考え。基地問題は沖縄戦と切り離すことができない平和の問題で、平和教育で取り扱うのは当然との見解を示す。
憲法改正論議と候補者の姿勢
現憲法は改正に向かうのか大きな岐路にある。改憲に意欲的な高市早苗首相は来年の改正国会発議を視野に入れている。
沖縄は米統治下にあって平和・人権・平等を規定する憲法への復帰を目指した歴史的経験がある。沖縄のリーダーが今日の改憲論議にどう向き合っているのか、有権者は注視している。
古謝氏は「時代の変化に応じて議論すること自体は健全だ」とする。県民の命を守る活動にも当たる自衛隊を憲法上明確に位置付けるため、9条を改定する必要があるとし、ほかに参院合区の解消も必要との考えだ。
玉城氏は「今も基地の重圧に苦しめられ、人権と民主主義、地方自治がないがしろにされている」として、改憲の必要はなく憲法の理念の実現を求める。9条も改定せず、対話と外交による国際問題解決を促す。
投開票まで4日。公約に目を通し、平和な沖縄づくりを誰に託すのか判断して一票を投じたい。