沖縄地方最低賃金審議会は、2026年度の県内最低賃金を現行の時給1023円から63円引き上げ、1086円とするよう沖縄労働局に答申した。国が沖縄などに示した目安の56円増を7円上回り、過去2番目の引き上げ額となる。
物価高騰で生活圧迫、目安上回る引き上げを評価
沖縄は賃金の低さが長年の課題であり、近年は全国平均を上回る消費者物価の上昇が生活をさらに圧迫している。働く人の最低限度の生活を保障する最低賃金について、目安を上回る引き上げ額に踏み込んだことは妥当であり、評価できる。
賃金の下限となる最低賃金の引き上げだけでなく、労働者全体の実質賃金が物価高騰に追い付き上昇に向かわなければ、暮らしの改善や景気の好循環にはつながらない。県内企業が継続して賃上げを行えるよう、需要を喚起する経済対策をはじめ、中小・小規模事業者を中心にさらなる支援の拡充が求められる。
全国最下位を脱するも、東京との差は依然194円
47都道府県別で改定後の最低賃金を比較すると、沖縄は宮崎を1円上回り、全国最下位を脱する。とはいえ沖縄と高知の1086円は下から2番目の45位タイと下位グループに位置する。最低賃金の最高は引き続き東京の1280円だ。沖縄との差は現在の203円差から9円縮まるものの、依然として194円の開きがある。
最低賃金は本来、ナショナルミニマム(国民生活の最低保障)として住む場所によって格差があってはならず、全国一律であるべきだという指摘もされてきた。
沖縄弁護士会は大幅引き上げと格差是正を訴え
沖縄弁護士会は会長声明で、現行の県内最低賃金の時給1023円では年収約212万円にしかならないと指摘。物価高騰の中で労働者の生計費を保障するには、最低賃金の大幅な引き上げと地域間格差の是正が必要だと訴えていた。
沖縄の最低賃金は25年度に初めて千円を超えた。今回の改定も、過去最大となった25年度の71円増に次ぐ引き上げ幅となった。社会のセーフティーネットである最低賃金の水準は、子どもの貧困問題などにも直結する。今後も地域間格差の是正に向けて踏み込んでいく必要がある。
中小・零細事業者の負担軽減と生産性向上が課題
一方で、大企業が集中する都市部に比べ、沖縄は中小・小規模事業者が多い。零細な事業者ほど最低賃金近くで雇用をせざるを得ない実情を無視するわけにいかない。
企業経営も原料高など物価高の影響を受けている。近年の急ピッチな最低賃金の引き上げに伴う人件費の負担増に対応できず、採用抑制や事業縮小が広がれば、かえって地域経済や雇用に負の影響を与えてしまう。
国の業務改善助成金の申請期限(11月30日)を踏まえ、新たな最低賃金は12月の発効に猶予を持たせる形となった。引き続き行政と労使が連携し、企業支援施策の十分な活用や迅速な実施に取り組んでもらいたい。
最低賃金で働くのは収入が不安定な非正規雇用者が多い。企業の生産性向上を後押しし、従業員の正規雇用化や所得向上へと還元させていく施策も重要となる。