トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は24日、米国ホワイトハウスで首脳会談を実施し、人工知能(AI)の安全性を巡る対応など両国の協力の必要性について議論を交わし、対話継続で一致した。焦点だった台湾問題では、中国側が「独立に反対」する立場を堅持するよう米側に要求し、台湾への武器売却をけん制した。
人類全体の脅威に対応する責任
AIの暴走や気候変動、紛争の頻発といった人類全体の脅威が急速に拡大している。米中の二大国は対立を止め、協調や競争の管理によって危機の回避に導く責任がある。沖縄にとっては、台湾を巡ってこれ以上軍事的緊張が高まる事態を止めなければならない。米中関係が分断から対話へと舵を切る道筋が期待される。
異例の出迎えと貿易休戦延長
トランプ氏は米国に到着した習氏を空港で直接出迎える異例の対応で歓迎した。習氏も「(米中は)ライバルではなくパートナーであるべきだ」との談話を発表した。5月のトランプ氏の訪中と同様、首脳間の良好な関係性が演出された。
米中経済の「デカップリング(切り離し)」を進める方針をトランプ氏が転換し、融和路線に進むように見える。だが、トランプ氏の外交・通商政策は一貫性がないだけに安易な判断はできない。
トランプ高関税と中国によるレアアース輸出規制の対抗措置、米国とイスラエルのイラン攻撃による中東情勢の悪化などで米国内の物価高騰が進み、トランプ政権は支持率を落としている。習氏到着に先立ち、両国は「貿易休戦」の期限を2カ月延長することで合意した。トランプ氏は中国から対米投資や米国産農産品の購入も引き出し、11月の米中間選挙で経済のアピール材料としたい思惑が透ける。
AI管理の国際枠組み構築を
協調関係が中長期的な戦略ではなく選挙目的のパフォーマンスであれば、選挙後の動向は不透明と言わざるを得ない。
しかし、AIの暴走や悪用の危機などは放置できない喫緊の課題だ。米中の覇権争いの中で歯止めなきAI開発競争と軍事利用が進んでいるが、AIの進歩に制御が追い付かず、大手IT企業からも開発を制御する必要性が叫ばれている。信頼関係に基づき、AIの管理や規制の国際枠組みを設ける必要がある。
習氏は今回の会談で米中は「競争し、協力もできる」と表明し、「互いに壁を築くのではなく、長所を発揮すべきだ」と述べた。トランプ氏は協力を強化すべきだとの認識を示した。AIを巡る対話を機に国際協調の世界を取り戻すべきだ。
台湾問題と日本の対応
台湾については、米国による武器輸出で緊張を高めるべきではないが、中国側にも「統一」を強調することへの自制を求めるべきだろう。中台間が過度な言動の応酬とならないよう周辺国が仲介しながら、台湾の独自性を確保していくことが地域の安定になるはずだ。
高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を発端に中国との関係が悪化する日本の対応も必須だ。抑止力強化のエスカレーションを止め、対話再開の糸口を探ることが求められる。