名護市辺野古沖で3月16日に小型船2隻が転覆し、同志社国際高校(京都府)の武石知華さん=当時17=と船長が亡くなった事故から半年が経過した。沖縄での研修旅行中に起きたこの事故は全国に衝撃を与え、関心が続いている。
真相究明は途上、安全管理体制のずさんさ指摘
事故から半年がたつが、真相の究明は途上にある。沖縄総合事務局は5月、海上運送法に基づく事業登録をしなかったとして、死亡した船長を刑事告発した。転覆した2隻は登録の際に求められる安全管理規定や乗船者名簿が未作成で、安全管理体制のずさんさが指摘されている。
武石さんの遺族は7月、同志社国際高校や運航団体「ヘリ基地反対協議会」に対する告訴状を提出。第11管区海上保安本部は高校や団体の関係先を家宅捜索し、業務上過失致死傷などの容疑で調べを進めている。
船長死亡で核心部分の解明に難しさ
当日の出港判断や航行ルートの選定、事前の安全管理態勢、学校とのやり取りなど重要な役割を担っていた船長が死亡したことで、核心部分の解明に難しさがある。捜査は押収資料の分析や関係者の証言から立証していくことになる。
半年の節目に名護市瀬嵩の浜で献花したヘリ基地反対協議会の仲村善幸共同代表は「一日も早い真相究明をしてほしいという遺族の気持ちにきちんと応えていかないといけない」と語り、捜査への全面的な協力を説明した。遺族への直接の謝罪も早く実現しなければならない。
SNS上の誹謗中傷、過剰な批判も
一方で、事故以来、ヘリ基地反対協議会や学校に過剰な批判が寄せられ、いわれのない誹謗中傷や名誉毀損の投稿が交流サイト(SNS)上に氾濫してきた。抗議活動に関わる船に乗って辺野古の基地建設の現場を見る研修内容への批判が起き、安全管理と政治的な議論とが混在。平和学習を「偏向教育」と見なす批判も強まった。
船舶死亡事故を起こした責任は厳しく問われてしかるべきだが、言い逃れしようがない事故当事者の過失に乗じ、沖縄での平和学習や過重な基地負担の現状を知る機会まで一緒くたにたたくのは過剰反応だ。デマにあおられた誹謗中傷の拡大は言語道断で、ヘリ基地反対協議会を揶揄するフェイク画像の拡散問題では東京地裁が発信者情報の開示を命じる決定をした。県知事選でエスカレートした誤情報や誹謗中傷にまでつながっている。
安全管理と政治的な問題とを線引きして検証し、扇情的な議論を抑える対応が求められる。