認知症や知的・精神障がいのある人などを対象に、介護・福祉サービスの契約手続きや日常的な金銭管理を支援する「日常生活自立支援事業」で、2025年度の利用待機者が全国で計3931人に上ったことが分かった。前年度の約1.4倍に急増している。
待機者は、人手不足など社会福祉協議会(社協)側の事情により、利用申請後1カ月以上面談していない人と、面談後2カ月以上支援の契約を結んでいない人を合計した数値だ。
都道府県別で千葉が最多、沖縄も上位
都道府県別では千葉の448人が最多で、大阪192人、沖縄157人と続く。
この事業は本人と社協との契約で利用でき、いつでも解約できる。法的契約などを支援する成年後見制度に比べ、より身近な生活支援を行うものだ。
利用者増に人員配置が追い付かず
利用者は全国で増加傾向にあり、2025年度末時点で過去最多の5万7千人超に上った。ニーズの高まりに対し、社協の人員配置が追い付いていない状況がある。
主な要因は財源だ。事業費は国や県からの補助金が利用者数に応じて配分されるが、配分額は人件費の一部にとどまる。そのため利用者が増えてもすぐに人材を確保することが難しいという。
単身高齢世帯の増加が背景に
利用者増の背景にあるのが単身高齢世帯の増加だ。核家族化や未婚率の上昇、少子化による家族形態の変化などにより、認知症の症状や精神障がいなどがあっても1人暮らしをする高齢者が増えている。
国の研究機関の推計では、全国の75歳以上人口に占める1人暮らしの割合は2020年に22.4%だったのが、2050年には28.9%まで増える見通しだ。高齢者の9人に1人程度が「身寄りがない」状態になるとの試算もある。
今年6月に成立した改正社会福祉法では、この事業の対象を身寄りのない高齢者にも広げることが法制化された。業務も死後の葬儀・納骨のサポートまでカバーし、2028年6月までの施行を目指す。
地域全体での取り組みが課題
しかし、社協だけで抱えられるのか。業務が増えることで現場からは人手不足と待機者増加に拍車がかかるとの懸念が出ている。自治体など地域全体で取り組むことが求められる。
高齢化率が全国一低い沖縄県内でも、単身高齢者世帯の比率は今後全国を上回るペースで増えることが見込まれている。「ゆいまーる」に頼るだけでは足りない。
敬老の日を迎え、高齢者の暮らしをどう支えていくのか。一人一人が考えたい。