美ノ海、県勢初の三役昇進 九州場所で新小結に 日々の鍛錬が結実
美ノ海、県勢初の三役昇進 九州場所で新小結に

大相撲九州場所の番付が発表され、うるま市出身の美ノ海(33)が東の新小結に就いた。沖縄県出身力士としては初めての三役入りで、都道府県で唯一三役を出していなかった県に待望の歴史が刻まれた。

県勢初の三役、苦労の末に

本名は木﨑信志。日大と中部農林高の相撲部で指導してきた2人の叔父がいる相撲一家で育ち、その分、重圧を感じた時期もあったという。2016年に初土俵を踏み、23年に30歳で新入幕。今年9月の秋場所では琴桜、霧島の2大関を破るなど10勝5敗と勝ち星を二桁に乗せ、2度目の敢闘賞を受賞した。

33歳5カ月での新三役は戦後4番目の年長記録で、初土俵から所要63場所は学生出身で史上最も遅い。年齢を気にせず、諦めることなく全力で、こつこつやってきたことが結果につながった。

技巧派の相撲、復活の軌跡

これまでの県出身力士の番付最高位は琉王の前頭筆頭(1973年)。琴椿、若ノ城、琉鵬も三役には手が届かなかった。美ノ海のしこ名には「沖縄の人に応援してもらいたい」という思いが込められている。

身長176センチ、体重157キロと大相撲では小柄なほうだが、足腰が強く、低い重心から得意の左前みつを引いて鋭く寄せる技巧派として知られる。新入幕が目の前だった2021年1月場所では相手に張り手から寄り切られ土俵外に落下、脳振とうで休場したこともあった。

その後負け越しが続き、7月場所では幕下からの出直しを余儀なくされた。そこから左前みつを取れなくても諦めず、負けないために何をすればいいのか、考え方、心の持ち方が変わったという。「一日一番という考えよりも、今日が最後だと思って土俵に上がり続けたい」と語る。

郷土での活躍と今後の展望

12月には出身のうるま市で地方巡業がある。ちびっこ相撲に賛同し「美ノ海杯」を立ち上げ、相撲の裾野を広げる活動にも積極的に取り組んでいる。今月の相撲の世界選手権では北部農林高校2年の玉城鳳真さんが優勝、名桜大学2年の山下寧々さんが準優勝と県勢の活躍も目立つ。

美ノ海は三役昇進について「相撲をやっている子どもたちの勇気や、目指す場所になれれば」と話した。古謝玄太知事は県スポーツ栄光賞授与を検討する。これを機に、相撲の競技環境整備への後押しも求めたい。

出典:www.okinawatimes.co.jp