9回裏、大歓声の中で戻ったエースの風格
第108回全国高校野球選手権沖縄大会決勝。沖縄尚学の左腕エース、末吉良丞が9回裏1死一塁、2点リードの場面で3番手としてマウンドへ向かう。約1万人の観衆で埋まった沖縄セルラースタジアム那覇は、この日一番の大歓声に包まれた。
「(出番は)『やったー』という、うれしい気持ちが一番大きかったです。ここまで怪我で投げられる機会が少なかったのですが、必要とされている実感があって、うれしかったです」と末吉は振り返る。緊張感が最高潮に達した場面でも、昨夏の全国制覇をけん引した末吉の胸を満たしていたのは、不安ではなく高揚感だった。
「生命線」左肘の故障で遠ざかったマウンド
末吉はこの日、1人目の打者からこの日最速の147キロを計測。しかし、そこに至るまでには約4カ月の試練があった。左肘の故障でマウンドから遠ざかり、投げられない日々が続いた。
その間、末吉は前腕や体幹を鍛え、同時に心の強化にも努めた。指揮官から「ガツガツ感がない」と指摘されたこともあり、闘争心を取り戻すための努力を重ねてきた。
「10番で終われない」背番号1奪還へ
末吉は「背番号1を取り返す」と宣言。現在の背番号は10だが、「10番で終われない」と強い決意を示す。復活の147キロは、その第一歩となった。