県勢初の三役昇進、美ノ海が小結に 不屈の精神で快挙 後進に希望
県勢初の三役昇進 美ノ海が小結に 不屈の精神で快挙

日本相撲協会は26日、大相撲九州場所の番付を発表し、うるま市出身の美ノ海(ちゅらのうみ=本名・木崎信志、具志川中―鳥取城北高―日大出、木瀬)が小結に昇進した。県出身力士が番付上位の「大関・関脇・小結」を指す「三役」に昇進したのは初めてだ。

空白地帯と呼ばれた沖縄の三役

これまで県出身の幕内力士は琉王、琴椿、若ノ城、琉鵬の4人がいたが、三役には手が届かなかった。三役経験者がいなかったのは沖縄だけで、それ故に「空白地帯」とも呼ばれてきた。今回の美ノ海の昇進によって解消された。

けして平たんな道のりではなかった。学生相撲で活躍しながらもけがに悩み、新入幕までは時間がかかった。2016年に初土俵を踏み、小結に上がるまで63場所、10年を要した。33歳5カ月での三役昇進は、戦後4番目の年長記録となった。

技巧派の力士が歩んだ道のり

身長176センチ、体重157キロと力士としては小柄ながらも、得意の左前みつを引いて鋭く寄せる技巧派として知られる。周りの力士と体格差がある分、番付を上げていくのは並大抵の努力ではかなわなかったはずだ。

18年に十両昇進、23年九州場所で新入幕を果たして県勢5人目の幕内力士となった。25年の春場所で11勝4敗と大きく勝ち越し、県出身の力士では初めての敢闘賞を受けた。一歩ずつ歩みを進めてきた先にあったのが、西前頭3枚目で臨んだ9月の秋場所での成績だ。10勝を挙げて2度目の敢闘賞を獲得、三役昇進につながった。

沖縄の子どもたちへのメッセージ

三役昇進の決定後、取材に応じた美ノ海は「沖縄で相撲をやっている子どもたちの勇気、目指す場所になればと思っている」と語った。さらに、自身で「地道にコツコツとやってきた結果かな」とも分析した。鍛錬を重ねたその姿勢こそ、沖縄の子どもたちが「目指す場所」となるはずだ。

今年、相撲界で県勢の活躍が目立っている。アゼルバイジャンで開催された相撲の世界選手権で、ジュニア男子中量級(100キロ未満)で玉城鳳真さん(北部農林高2年)が優勝、シニア女子軽量級(65キロ未満)で山下寧々さん(名桜大2年)が準優勝を果たした。いずれも快挙だ。

沖縄相撲人気の高まり

日本相撲協会のホームページによると、沖縄出身力士は11人。人口比率で言えば、全国の中でも多い部類に入る。美ノ海の快挙を経たことで、沖縄での相撲人気の熱は一層高まっていくだろう。

以前のインタビューで美ノ海は「幕内で一度は優勝する」と目標に掲げていた。一歩一歩、軌跡を残してきた姿にどうしても活躍に期待を掛けてしまう。まずは九州場所をけがなく終え、長く県民を勇気づけてほしい。

出典:ryukyushimpo.jp