防衛省が米陸軍の長距離ミサイルシステム「タイフォン」と高機動ロケット砲システム「ハイマース」を嘉手納基地に保管する計画を発表した。沖縄防衛局ホームページで明らかにされたもので、防衛省は「恒久的な配備ではない」と説明するが、具体的な保管期限は示していない。基地負担軽減に逆行する計画として、即時撤回が求められている。
嘉手納町長が即時完全撤回を要求
嘉手納町の當山宏町長は9月28日、沖縄防衛局に対し計画の即時完全撤回を求めた。さらに米空軍や外務省沖縄事務所、在沖米総領事にも10月1日までに計画撤回を求める抗議・要請文を送付。「町民の過重な基地負担を顧みない日米両政府の姿勢には、極めて強い不信感を抱かざるを得ない」と反発している。
基地被害から町民を守る立場にある當山町長の憤りは当然で、日米両政府と米軍は抗議・要請を受け入れるべきだと本紙は指摘する。
古謝新知事は賛否示さず
9月30日に発足した古謝新県政はこの計画への賛否を明らかにしていない。就任会見で古謝玄太知事は「理由や期間について十分な説明がされていない。国は地元の声に真摯に対応してほしい」と述べたが、国と嘉手納町の間で収まる話ではない。基地機能強化を阻止するため、県は町と共に計画撤回を国に迫るべきだとしている。
一方、防衛省は嘉手納町の訴えに耳を貸そうとしない。小泉進次郎防衛相は9月29日の閣議後会見で「日米同盟の強化は必要不可欠であることをご理解いただきたい」と述べ、計画撤回要請を拒否。「自衛隊がこれらのアセット(装備)との共同訓練を一層柔軟に実施しやすくなる」「日米同盟の抑止力・対処力の強化につながる」とも述べた。
これは嘉手納基地に保管する「タイフォン」「ハイマース」を日米共同訓練などで使用することを示唆したもので、到底受け入れられない。「恒久的な配備ではない」という防衛省の説明とも矛盾し、同盟強化ありきで地域住民の負担軽減を顧みない態度だと言わざるを得ない。
周辺国を刺激する恐れ
「タイフォン」は射程約1600キロのトマホークミサイルを搭載できる対艦・対地攻撃用システムで、昨年は山口県の岩国基地に展開されていた。先月8日から24日まで実施された日米豪実動訓練「オリエント・シールド26」で海上自衛隊鹿屋基地に一時展開した際、中国は展開に反対し、ロシアも警戒感を表明した。沖縄に保管すること自体、周辺国を刺激する恐れがある。
嘉手納基地をめぐっては、日米特別行動委員会(SACO)の合意事項に反するパラシュート降下訓練が恒常化している。町屋良区に隣接する海軍駐機場も合意に基づき移転したが、米軍は跡地を継続使用している。
際限のない機能強化が続けば、日米同盟による抑止力に理解を示す県民でも嘉手納基地の撤去要求が選択肢に上がってこよう。そのことを日本政府は自覚すべきだと本紙は結んでいる。