名護市辺野古沖で3月に発生した船転覆事故で、亡くなった同志社国際高校(京都府)2年の武石知華さんの両親が、古謝玄太知事と面談し、修学旅行の安全確保や安全管理の実態把握、学校や旅行会社が共有できるガイドラインの整備などを申し入れた。
遺族が知事に訴えた内容
面談は非公開で行われ、終了後に両親と古謝知事が報道各社の取材に応じた。両親は「登録のない主体が子どもを船に乗せるということが二度と起こらないようにしていただきたい」と訴え、体験活動を提供する団体が安全管理体制を整えているかどうかを確認できる仕組みづくりを求めたという。
両親は翌日の18日、辺野古の浜を訪ね、花を手向けお菓子やジュースを供え、手を合わせた。母親は「このきれいな海を見て楽しく出かけて、まさか自分だけ帰ってこられないなんて、思ってなかっただろうなって」と涙ながらに語った。
事故後の経過と責任の所在
船を運航していた市民団体「ヘリ基地反対協議会」は事故から半年後の9月、ホームページ上で謝罪声明を公表し、「失われた命の重さを忘れることなく、誠実に事実と向き合い、責任を全うする」ことを明らかにした。
転覆事故から7カ月が経過するが、原因究明が進まず、責任が不問にされることを懸念した遺族は、7月に学校やヘリ基地反対協の関係者計11人を業務上過失致死傷などの容疑で刑事告訴した。第11管区海上保安本部は捜査を継続しており、県としては捜査の進展や関係機関の検証を見極めながら、安全管理の徹底を図る考えだ。
平和学習への影響と今後の課題
安全確保の問題と並んで、文部科学省が同志社国際高校の平和学習を教育基本法違反と認定したことから、学校現場では沖縄での平和学習・平和教育の対象を沖縄戦に絞り、基地問題には触れないケースが出始めているという。国会では市民団体や民泊などの思想を国が調査し、平和学習を実施する学校に提供するよう求める声も上がった。
対立する意見や考え方を提示し、生徒に自主的に考え判断する機会を設けることが重要であり、文科省の意向を忖度して基地問題を学ぶ機会がなくなれば、沖縄の歴史と現実を現場で学ぶ機会が失われると指摘されている。同志社国際高では研修旅行に関わった教員が亡くなったことも報告されており、ネット上での安易な決め付けや誹謗中傷は新たな悲劇を生む恐れがあるとして、厳に慎むべきだとしている。