嘉手納に長距離ミサイル保管 地元不安に日米は応えよ
嘉手納に長距離ミサイル保管 地元不安に応えよ

県内で新たな長距離ミサイルシステムや地対艦ミサイルなどの保管・展開が相次いでいる。米陸軍の長距離ミサイルシステム「タイフォン」を載せた大型輸送機がきのう、嘉手納基地に飛来した。高機動ロケット砲システム「ハイマース」とともに今月中旬までに嘉手納に「保管」されると防衛省が発表していた。

タイフォンは県内初、ハイマースは2両目

タイフォンは巡航ミサイル「トマホーク」などを発射できる対艦・対地攻撃用システムで、これまで県内への配備実績はない。一方、中・短距離ミサイルを搭載するハイマースはキャンプ・ハンセンを拠点とする第12海兵沿岸連隊が運用しており、嘉手納に来れば県内で2両となる。

防衛省は保管という説明に関して、運用部隊の配置はなく「配備」とは異なるとする。だが、保管なら本国ですればいいのではないか。わざわざ嘉手納に移動させるのはふに落ちない。しかも保管の期限は示されていない。

嘉手納町長が抗議文、防衛相は訓練柔軟化に言及

地元の嘉手納町からは懸念の声が上がっている。當山宏町長は「町民の過重な基地負担を顧みない日米両政府の姿勢に極めて強い不信感を抱く」との抗議文を米軍や政府に提出。保管の撤回を要請した。

こうした声に対し、小泉進次郎防衛相は一定の理解を示すものの、「保管によって、自衛隊がこれらのアセットとの共同訓練を一層柔軟に実施しやすくなる」と述べた。訓練展開を暗に示したもので看過できない。

キーン・ソードで先島にも展開

これらの装備は台湾海峡や南西諸島(第1列島線)で、米軍による対中軍事作戦の中心となるものだ。県内で展開されれば軍事的緊張も高めかねない。

ハイマースは、19日から先島諸島を含め全国各地で実施される日米共同統合演習「キーン・ソード」でも展開される。石垣では、米軍の短距離防空システム「マディス」や無人の地対艦ミサイルシステム「ネメシス」、日米のオスプレイ、自衛隊の地対艦誘導弾なども投入される。オスプレイは宮古空港でも使用される見通しだ。マディスやネメシスは与那国でも初展開される。

台湾有事を念頭にした日米共同訓練はこれまでにも実施されてきた。しかし、日米の装備品がこれほど展開されることはかつてないことだ。

冷え込む日中関係、対話は1年近く途絶

日中関係は冷え込み、首脳級の対話は1年近く実現していない。そうした中で実践的な軍事訓練は緊張を高めかねない。先日の米中首脳会談でトランプ米大統領と習近平国家主席は終始「友好ムード」だった。いわゆる「台湾有事」も差し迫った情勢は見られない。米中が安定した関係を築こうとしているさなかに、島々を要塞化することは逆行しているのではないか。日中や米中の関係回復にも水を差すことになりかねない。日米政府は地元の懸念に耳を傾けるべきだ。

出典:www.okinawatimes.co.jp