<社説>157億円かけて移転した嘉手納旧海軍駐機場を米軍が継続使用 日本政府の対応はいったい許されるのか
<社説>157億円かけて移転した嘉手納旧海軍駐機場を米軍が継続使用 日本政府の対応はいったい許されるのか

米空軍嘉手納基地の旧海軍駐機場をめぐり、第18航空団が「旧海軍駐機場で行われる全ての運用は、日本および同盟国への防衛上の責務を果たすために必要だ」との認識を示し、継続使用を正当化した。住宅地に隣接する旧駐機場の使用は、日本政府の予算で移転先が整備された経緯を踏まえれば、明らかな日米合意違反である。

移転の経緯と使用実態

1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告の騒音軽減イニシアチブに基づき、日本政府は157億円を支払い、2017年に滑走路を越えた沖縄市側へ駐機場を移転した。にもかかわらず、米軍は旧駐機場を使い続けている。

嘉手納町によると、今年2月10日から5月12日までの間に、延べ219機の米軍機が旧駐機場を使用した。7月にはF-22Aラプターステルス戦闘機の「ホットピット」作業も頻繁に確認されており、エンジンをかけたまま給油する作業による騒音や悪臭の影響はさらに大きい。

米軍の主張と日本政府の対応

第18航空団は本紙の取材に対し、「嘉手納基地は日本政府との2国間協定に完全に沿って運用されている」として、日米合意違反を否定している。移転完了直後の2017年にも同様の主張があったが、周辺自治体の反発を受け、日本政府が全面否定した経緯がある。

木原稔官房長官は「(日米合意違反を)容認したとの指摘は当たらない」と述べている。しかし、それならば使用を繰り返す米軍に強く抗議し、即刻中止させるべきだ。日本政府のあいまいな態度が米軍の居直りを許している。

防衛相の答弁と基地運用の課題

小泉進次郎防衛相は「問題の早期解決に向けて(米側と)協議を加速化していく」とする一方、「軽減イニシアチブの趣旨にかなう運用がなされ、周辺住民の方々に与える影響が最小限にとどまることが重要だ」と述べるにとどまり、日米合意違反を明確に口にしない。

さらに、嘉手納基地では7月29日にパラシュート降下訓練が実施され、「例外」とされる訓練が常態化している。沖縄の基地負担軽減に関する日米合意を無視した自由使用がまかり通っていることは、住民生活を無視する横暴にほかならない。