宜野湾市上原交差点の近くで、昼時には店外に行列ができる小さなまちのパン屋「パン工房Pao」が、10月31日をもって28年の歴史に幕を閉じる。閉店を目前に控えた店主の上原勝彦さん(55)は、地域やスタッフへの感謝の言葉を口にした。「中には閉店を惜しんで涙を流してくれるお客さんもいる。こんなことってあるんだね」と感慨に浸った。
潜水士からパン職人へ
上原さんはフリーの潜水士として阪神淡路大震災の復興作業に派遣されていた際、配給されていたパンのおいしさに感動。帰沖後に県内ホテルでの修行を経て、1998年にパン工房Paoをオープンさせた。
「早く、きれいに、確実に」をモットーに開発してきた商品は、いずれも自信作だ。3日間かけて作るバターの風味豊かなクロワッサン(税込み180円)や、大盛りのチョコチップを入れたチョコチップメロン(同240円)は看板商品として親しまれてきた。
閉店の理由と今後の展望
色とりどりのパンが市民の心をつかんできた同店だが、機材の老朽化や材料費の高騰に加え、上原さんが長年抱えてきた持病の治療に専念するため閉店を決めた。
オープン以来、生活のほとんどをパン作りにささげてきた上原さんは「本当に地域に愛され、感謝しかない。たくさん惜しむ声を頂き、これまでの働きが報われた」と感じ入った。
妻が新たな店を準備
閉店後は、共に店を支えてきた妻の佐之重さん(54)が、同所でかき氷とぜんざいの店のオープンを目指し、準備を進めるという。今後について上原さんは「まずはたくさん寝たい」と笑いつつ、「しっかり持病の治療をして、妻のサポート役として再スタートを切りたい」と意気込んだ。営業は31日まで。正午に開店し、商品がなくなり次第終了する。