変態的こだわりが生む会員制すし屋の沖縄そば スラムダンクから料理の道へ「食材は嘘つかない」
変態的こだわりの沖縄そば スラムダンクから料理の道へ

沖縄市の諸見百軒通りに今年8月オープンした「志まぶく食堂」。店主の高江洲義継さん(51)が手がける沖縄そばと、完全会員制のすし屋が食通の間で話題となっている。

スラムダンクから料理の道へ

高江洲さんは北谷町出身。漫画「SLAM DUNK」のモデルにもなった北谷高校バスケットボール部で全国総体3位に輝いた経歴を持つ。その後、名古屋・京都・東京の料亭で延べ10年超の修業を積んだ。

かつて祖父母が営んでいた沖縄市の名店「島袋そば」ののれんを引き継ぎ、今年8月に「志まぶく食堂」をオープンさせた。祖母のウトさんの強烈なキャラクターで行列のできる名店として愛された店だった。

食通もうなる孤高の“すし”

高江洲さんは飲食店のコンサルタントをしながら、月に数日だけ夜は完全会員制すし屋を営む。全国から取り寄せたネタを、タンパク質の変性やシャリの温度変化を見極めて握る。すしの営業日に合わせて県外から訪れる客も少なくない。

「食材は嘘つかない、絶対裏切らない。100の愛情を注げば、必ず100返ってくる。それが毎回楽しい。まだまだ、もっとおいしくなる」と高江洲さんは話す。

麺にコシがない? その理由とは

「料理は化学」と語る高江洲さんの作る沖縄そばの自家製麺は、7種以上の小麦粉を使い、一般的な麺よりも長い。ツルツル食感だが、なんとコシがない。「スープが主役になるようコシを抑え、麺を長くしてすする回数を増やすことで、だしの香りが伝わりやすくなる」と説明する。

作る度にアレンジを加えていて、1週間後には麺の食感や味わいが変わっていることもあるという。

厚さ0.01ミリから出る“うまみ”

スープのだしには鹿児島県指宿産のかつお節を使用。世界特許の特殊な機械で厚さ0.01ミリに削り出す。軽自動車1台に匹敵する高額な削り機を購入した結果、「いつまでたっても自分の車が買えない」と笑う。

「志まぶくそば」(880円)は骨ソーキ、三枚肉、炭焼き若鶏が乗り、あっさりとこってりの2味。同じ素材だが、だしの抽出工程を変えることで香り高い2種のスープを作り出す。

初めて来店した沖縄市の男性(49)は「だしのいい香りが鼻に抜ける。麺がだしにからまり、のど越しもいい」と話す。リピーターの男性(49)=那覇市=は「店主のこだわりが、うまさを一層引き立てている。スープが飲み足りない」と空になったどんぶりを見つめた。

目に見えない力も借りて、冷めることなき探究心

日々進化し続ける志まぶくそば。だしも麺も年明けには大きく改良する構想を秘めている。高江洲さんは食堂をラボ(研究所)と位置付け、さまざまなアレンジで新たなる発見やうまさの追求を実験のように繰り返す。

「食材が一番活躍できるステージを作るのが仕事。本来の力を引き出す手助けをしているだけ。今の料理は技術的に天井に近い。この先は発酵や菌などの目に見えない力も借りて、さらなるおいしさを追い求めたい」と語る。

志まぶく食堂の営業は月曜~土曜日、午前10時ごろ~午後2時ごろ。すし屋は完全会員制で月に数日のみ夜間に営業する。いずれも12歳以下の入店は断っている。

出典:ryukyushimpo.jp