ジャングリア沖縄、なぜ伸び悩むのか 遊園地研究者が現地で見た課題と改善策
ジャングリア沖縄、なぜ伸び悩むのか 研究者が現地調査

沖縄県今帰仁村に新設されたテーマパーク「ジャングリア沖縄」の集客状況が思わしくない。週刊誌などでは資金繰りに苦戦しているとの報道がなされているほか、口コミでは来園者が少なく「ガラガラ」とのコメントも散見される。運営会社は本業の稼ぐ力を示すEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)が黒字だと公表しているものの、税金の支払いや減価償却を加味しての利益までは開示しておらず、経営実態はベールに包まれたまま。遊園地の専門家としてジャングリア経営の課題を探るべく、現地へ向かった。(文=日本遊園地学会会長・塩地優、編集=社会部・大川藍)

重い腰を上げて、いざ沖縄へ

「いい加減ジャングリアを見に、沖縄へ来い」。そう言わんばかりの連絡が1月、沖縄の知人から届いた。ジャングリアについては、開業以前に損益分岐点などの分析をしたことに目を付けてもらい、沖縄タイムスから何度か取材を受けてきたが、一度も現地には行っていなかった。

理由はシンプルだ。「沖縄は航空券もホテルも高くなってしまったし、高いお金を出して行くほどの価値をジャングリアに見いだせなかったから」。数年前までの感覚でいると、旅費がゆうに2倍近くかかってしまう。かといって、家族とともに行くなら、ホテルのグレードは落とさずリゾートホテルにステイしたい。だから、安くなるタイミングを見定めていたのだが、そうこうしているうちに機を逸していた。

言い訳をすると、多くの方にとって、テーマパークは「行ってみなければわからない」施設だが、作り手にとっては、事前に図面などから完成される体験を予想できなければならない。私は作り手ではないが、遊園地を研究する身として、やはり事前情報から体験価値をある程度予想できなければならない。行かずに分かってしかるべきなのである。

複雑な入園システム 来園前に疲れる構造

とはいえ、このままダラダラ遅らせるわけにもいかない。知人からの声掛けに応じて、単身、沖縄に乗り込むことにした。JTBの「ジャングリア沖縄への旅」の中から、最安のパッケージを予約した。2泊3日で、ジャングリア沖縄、スパジャングリアの入園券が付いて、6万円台のプランだった。

現地に到着してまず気になったのは、入園システムの複雑さだ。事前にチケットを購入していても、入園までに複数の手続きが必要で、来園者が疲れてしまう構造になっている。特に初めて訪れる家族連れにとっては、そのハードルが高いと感じた。

世界観に浸れない? テーマパークとして弱点は

テーマパークとしての最大の弱点は、世界観に浸れないことだ。ジャングリアは「ジャングル」をテーマにしているが、園内の演出やアトラクションの導線が、その世界観を十分に体感できる設計になっていない。来園者が「別世界に来た」と思えるような没入感が不足している。

象徴的アトラクションに一番乗りしたが、全体的に人員過剰感が漂う。スタッフの数は多いが、それぞれの役割が明確でなく、結果としてサービスが画一的になっている。比較対象として「レゴランド」を挙げると、スタッフ一人ひとりが主体的に動き、来園者との距離感が近い。その差は明らかだ。

余計な説明は不要 子どもが夢中になる条件

子どもが夢中になる条件は、余計な説明が不要であることだ。アトラクションに並んでいる間や、体験中にスタッフが長々と説明をすると、子どもたちは興味を失ってしまう。ジャングリアでは、その点が改善の余地がある。

「恐竜の森」に学ぶべき没入感を生む設計とは、来園者が自ら発見する楽しさを提供することだ。一方、「パイナソー」に見る成功のヒントは、IP(知的財産)戦略の重要性を示している。単なる乗り物ではなく、キャラクターやストーリーがあってこそ、リピーターが生まれる。

今後の集客回復には、こうした課題への具体的な対応が求められる。運営会社が経営実態をどこまで開示するかも、信頼回復の鍵を握るだろう。

出典:www.okinawatimes.co.jp