戦火逃れ180年守った獅子頭が引退 修繕限界で新調へ 名護・嘉陽
戦火逃れ180年守った獅子頭が引退 修繕限界で新調へ 名護

名護市嘉陽区で、集落の守り神として約180年にわたり受け継がれてきた獅子頭が、修繕が難しくなったため新たに作られることになった。旧暦8月15日に当たる9月25日には、区民らが獅子の誕生日を祝い、長年の働きに感謝を伝えた。

約180年の歴史と戦火を越えた獅子

嘉陽誌などによると、獅子頭は1840年代、沖縄で天然痘が流行した際に魔よけとして作られたという。デイゴの木で作られたとみられ、胴体は麻縄を一本一本、全身に縫い上げるように仕立てられている。沖縄戦では米軍に獅子屋が荒らされたが、獅子だけは区民が戦火の中で山へ持ち運び、抱きかかえて守り抜いたとされる。

修繕限界で新調へ

山田沙紀区長によると、長年の使用で獅子頭の下あごの一部が割れ、上あごと下あごの接続部分ももろくなっていた。修繕を重ねてきたが、職人に見せたところ、本体自体が修繕に耐えられない状態だと判明した。山田区長は「区の先輩方の話も聞きながら、獅子頭をどうしていくか、区民で考えることができるタイミングだった」と振り返り、「今だからこそ、新しく作る判断ができた」と語った。

誕生日を祝う区民の思い

9月25日午後6時ごろ、区では豊年満作を祈願するウシデークが催された。名護の名木にも選ばれたガジュマルがそびえる「アスイマー」で、区民の女性らが小太鼓を手に円になって踊った。歌に合わせて踊りも変わり、中盤には四つ竹を手にした踊りも披露された。

その後、区民らは獅子屋に移動し、獅子の誕生日を祝った。子どもらによる「かぎやで風」で始まり、男性らによる「ペーチン(二才踊り)」も披露された。「嘉陽獅子お誕生日おめでとう!」と書かれたケーキが獅子の前に置かれ、子どもらが「ハッピーバースデー、シーシー」と歌った後、ろうそくの火を吹き消した。最後には獅子舞が披露され、獅子に追いかけられた子どもらが歓声を上げた。

ウシデークに参加した区出身の70代女性は「みんなと一緒に踊れてうれしかった」と笑顔を見せた。子どもの頃から親しんできた獅子を振り返り、「さみしくなるさ。自分たちが慣れ親しんでいる獅子だし、嘉陽の獅子が一番かわいいさ。でも、やっぱり昔と違って古くなっている。今の獅子には『ご苦労さまです、これからも区を守ってほしい』と伝えたい。新しい獅子になっても、この獅子が長く続いてほしいね」と話した。

新獅子は来年8月に披露

山田区長によると、引退した獅子頭を今後どのようにしていくかは、区民で話し合って決めるという。新たに作る獅子は、来年8月17日の豊年祭でお披露目する予定だ。「今の獅子頭が役目を終えて、新しい獅子頭となっても、嘉陽の獅子であることは変わらない。これからも嘉陽を守ってくれる存在であり続けてほしい」。約180年にわたり集落を守ってきた獅子頭に、感謝を込めた。

出典:ryukyushimpo.jp