元在沖米国総領事館広報文化担当補佐官で、現ぬちまーす副社長の高安藤(ふじ)さん(82)がこのほど、著書「御後絵の色を追って」(発売・沖縄タイムス社)を出版した。沖縄と米国の文化交流を担う立場と語学力を生かし、沖縄戦時に米国へ持ち去られた琉球王の肖像「御後絵」をはじめとする文化財の来歴を調査した道のりを記したものだ。
出版の喜びと経緯
高安さんは「これまで調べたことを形にできてうれしい」と喜びを語っている。同書は326ページで、価格は1980円(税込み)。書店(インターネット含む)、沖縄タイムス販売店、沖縄タイムス社のECサイトで購入できる。
調査のきっかけと成果
高安さんは2000年の九州・沖縄サミットの際、米国に流出した文化財の展覧会を企画。展覧会は実現しなかったものの、企画をきっかけに流出文化財の調査が進み、琉球王国の王冠や御後絵が米連邦捜査局(FBI)の「盗難美術品ファイル」に登録された結果、2023年の御後絵の発見、返還につながった。
著者の歩みと本の見どころ
高安さんは前原高校を卒業後、米軍機関で働きながら短期大学の夜間部で学び、奨学金を得て米国の大学に進学。日本復帰の混乱の中で仕事を変えながら、1985年に在沖米国総領事館に就職した。
業務を通じて流出文化財に向き合う中、戦前に撮影された白黒の写真しか残されていない御後絵を「どうにかして見つけ出せないものだろうか」との思いが募った。仕事をしながら56歳で琉球大学大学院に進学し、米国にある沖縄の文化財の来歴を調査した。
本の見どころは、高安さんがウチナーンチュとしての誇りと好奇心を持ち、英語の資料を読み解きながら、御後絵がどのように持ち去られたか、推理していく場面だ。
著者の思い
高安さんは「琉球の歴史や流出文化財について調べることで、ウチナーンチュとしてどう生きるかという自分自身の来歴が定まったように思う」と話す。「私が掘り起こした、沖縄の文化財に関わった人々の熱意が伝わるとうれしい」と語った。