声と手話で奏でる「みんなの音楽」 カラフルコーラスOKINAWAの挑戦
声と手話で奏でる「みんなの音楽」 カラフルコーラスOKINAWA

障がいのある子どもたちと障がいのない子どもたちが一緒に歌い表現する合唱団「カラフルコーラスOKINAWA」が、沖縄方言手話を取り入れた「手歌(しゅか)」で独自の音楽世界を広げている。9月20日に那覇文化芸術劇場なはーと小劇場で開催された「カラフルフェスタ2026」では、約300人の来場者が一緒に「芭蕉布」を手歌で表現した。

個性が輝くインクルーシブな合唱団

2024年8月に設立された「カラフルコーラスOKINAWA」(旧・ホワイトハンドコーラス沖縄)は、聴覚・視覚障がい、車いすユーザーなど障がいのある子どもたちと、障がいのない子どもたちが共に歌い表現するインクルーシブかつユニークな合唱団だ。沖縄方言手話を取り入れた「しまくとぅば手歌」づくりをはじめ、自主イベントである「カラフルフェスタ」を毎年開催している。

現在、6~18歳の約25人の子どもたちが所属。歌声で表現する「声チーム」と手話を使う「サインチーム」で構成され、障がいの有無にかかわらず、音楽を通して一緒に過ごす場をつくっている。

歌詞の意味を考えて生み出す「手歌」

特徴の一つが、手話を使って歌を表現する「手歌」だ。一般的な手話ソングは、歌詞に手話や50音の指文字を当てはめていくが、同団体では、歌詞の意味や曲の背景まで子どもたちと考えながら、音楽そのものを手で表現する。例えば「月桃」なら、「花」を意味する手話を使うのではなく、花の形や咲き方を観察し、「どうすれば月桃らしく見えるか」を考える。また、沖縄に古くから伝わる手話があれば取り入れ、なければ子どもたちと表現を生み出している。

「手歌は、表情などを含めた歌。『楽しい』などの感情が、歌とともに見てすぐ届けられるように」と話すのは、サインチームの講師である北野希さん。沖縄のシニア世代が使う手話や、地域に伝わる表現を掘り起こす活動も行っている。

練習では、メトロノームの動きを目で確認しながら、リズムを体感。曲のテンポに合わせて手歌の動きを速くしたり、大切なことを伝える場面では動きを大きくしたりと、音楽と表現について学んでいく。

「これが合唱なんだ」と気付いた瞬間

あるサインチームの子が「自分が一生懸命サインを表現しているときに、同じ気持ちで声チームが歌っているのが分かった。これが合唱なんだ!」と気付いたという。同団体代表の新垣祐歌さんは「『ああ、この活動を続けていて良かったな』と思いました」と語る。声チームとサインチームは、それぞれ練習した後、最後には一緒に合唱。互いの表現を感じながら「呼吸を合わせる」ことを大切にしている。

カラフルフェスタ2026で子どもたちが発信

9月20日の「カラフルフェスタ2026」では、音楽だけでなく、子どもたち自身が学び、発信する場も設けられた。前半の「こどもシンポジウム」では「子どもの安全」をテーマに、子どもたちが登壇。耳が聞こえない、聞こえにくい人の交通安全や110番の方法、SNSの使い方について、自分たちの意見を発表した。

「手歌ワークショップ」では、手歌の成り立ちや歌い方を実演を交えて紹介。最後には会場全体で「芭蕉布」を手歌で表現し、約300人の来場者も一緒に手を動かした。コンサートでは「月桃」や「てぃんさぐぬ花」など沖縄に伝わる民謡に加え、戦前、ひめゆり学徒たちのために作られた「別れの曲(うた)」(別名・相思樹の歌)など10曲を披露した。

無償で続ける活動の思い

「一番大事なのは、練習した後にみんな一緒に遊ぶこと。そういう環境があることが、ものすごく重要だと思います」と新垣さんはほほ笑む。活動は全て無償で、衣装代などの費用もかからない。経済的な理由や障がいによって文化・芸術に触れる機会を得にくい子どもたちにも音楽を届けたいとの思いから、寄付やファンクラブなどの支えを受けながら活動を続けている。

「みんなと同じじゃなくてもいい。違って当たり前なんだと、私たちの歌を通して気付いてほしい」。北野さんの言葉には、そんな願いが込められている。声と手。それぞれ違う表現が重なり合うことで、一つの音楽が生まれる。舞台を終えた子どもたちが見せた無邪気な笑顔は、音楽の先にある「一緒にいること」の楽しさを物語っていた。

出典:ryukyushimpo.jp