人工知能(AI)を悪用したサイバー攻撃が現実の脅威となっている。不正アクセスによる情報漏えいが実社会を揺るがしており、各国が協力して対策を講じる必要がある。開発に制限を設けることも真剣に議論すべきだ。
PHPの脆弱性で全国に影響
ウェブページで広く使われるプログラミング言語「PHP」に、重大な欠陥に当たる脆弱性が見つかった。世界のウェブサイトの約7割で利用されており、攻撃を受ける危険性が指摘されている。
この問題を受け、全国の地方銀行や鉄道、インターネット関連企業などで一部サービスを停止する緊急措置が取られた。自治体も対応に追われ、重要インフラでシステム障害に発展すれば影響は深刻だ。
PHPの開発団体は「パッチ」と呼ばれる修正プログラムでの対応を求めている。高市早苗首相はX(旧ツイッター)への投稿で速やかな対応を呼びかけた。
県内でも影響広がる
沖縄県内でも影響が広がっている。県や多くの市町村がウェブサイトの公開を一時停止した。医療機関や教育現場でも、メンテナンスのためにシステムを止めるなどの影響が出た。
サイバー攻撃を巡って沖縄ツーリスト(OTS)は、最大約73万人分の個人情報が漏えいしたと発表した。氏名、住所、電話番号、運転免許証番号などが流出し、顧客情報が闇サイトに掲載・販売されている可能性がある。運転免許証の画像については漏えい調査を継続しているという。
サイバー脅威分析を手がける会社は、ダークウェブと呼ばれる流出情報が出回るサイトで、OTSから流出したとみられる顧客情報が販売されているとの投稿を確認した。免許証は身分証明として広く使われており、影響は大きい。
AI規制と国際連携が急務
これらのサイバー攻撃には、AIを悪用した可能性が高い。政府は不正アクセスを防ぐため、ハッカーに対抗する専門家「ホワイトハッカー」のチームを立ち上げるとしている。民間とも協力して早急に具体的な対策が求められる。
個人情報を多く持つ企業や自治体も、危機感を持って対応する必要がある。保存内容や期限を見直し、必要以上に情報を保持しないこともリスク回避のために考えるべきだ。
米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、AIが「10億人の死者を出すような事態」を引き起こす可能性を警告し、規制強化を訴えている。人間がAIを制御できなくなる危険性が急速に高まっており、この警告を無視できない。AI開発に何らかのルールを設けることが必要だ。
サイバー攻撃を防ぐことは各国共通の課題であり、政府には国際社会と連携した対策が求められている。