日米共同統合演習「キーン・ソード27」が19日に全国各地で始まった。防衛省によると、自衛隊4万5千人、米軍1万2千人に加え、豪州軍などを含む合計9カ国が参加予定だ。沖縄県内では米軍基地や自衛隊基地に加え、空港や港湾などの民間施設でも訓練が行われ、公道の使用も見込まれる。
与那国島へのミサイル展開
最も懸念されるのは、与那国島へ米軍の地対艦ミサイル「ネメシス」と短距離防空システム「マディス」を初めて展開することだ。沖縄本島に配備されたネメシスの射程は約210キロ(約115カイリ)と米軍は明らかにしており、与那国町に展開した場合、宮古島や台湾中部まで射程圏内に入る。
防衛省関係者は、米最新鋭ミサイルの先島への展開は、いわゆる「台湾有事」を想定しているとの見解を示した。対中国を念頭に軍事的なアピールをする狙いがあるのは明らかで、中国側の警戒が高まるのは必至だ。
中国海軍の動きと緊張の高まり
14日には中国海軍の空母「遼寧」が沖縄本島と宮古島の間を南東に移動し太平洋側に入った。防衛省によると、石垣島の南約250キロで艦載の戦闘機を発着艦させたという。言葉だけではなく物理的な対抗措置に踏み切った形で、偶発的な衝突などのリスクが高まっている。
政府や防衛省は沖縄の再戦場化を前提に訓練を繰り返しているのではないか。有事を回避する外交努力は見えず、演習によって軍事的緊張を高めかねない。刺激し合い軍備拡張が強まれば、その負担や影響を受け続けるのは先島住民だ。
県の対応と知事の姿勢
県は「県民生活や事業活動への影響を最小限とすること」を沖縄防衛局に求めたが、これまでの日米共同訓練時に求めていた「オスプレイの使用自粛」や「米軍の民間空港使用の自粛」は盛り込まれなかった。
古謝玄太知事は14日の県議会一般質問で「安全保障環境が厳しくなっていることを踏まえれば、定期的に(演習を)行うことは必要だと理解している」と述べ、訓練を容認する姿勢を示した。しかし、政府や防衛省の方針に従うだけでは県民の平穏な生活を守ることはできない。
抑止力や対処力の向上を理由に装備を沖縄に集中し訓練を激化させれば、有事の際に標的となる危険性も高まる。なし崩し的に民間施設の軍事利用化が進めば生活への影響は必ず出る。軍事的緊張が高まった先島住民の懸念に向き合い、国に意見を伝える姿勢が求められる。