9月の知事選で初当選した古謝玄太知事が就任して1カ月が過ぎた。自民を与党とする保守県政への12年ぶりの交代となり、基地問題で前県政からの政策転換が鮮明になっている。政府も新県政を厚遇し、2013年を最後に開かれていない沖縄政策協議会は11月にも開かれる方向だ。
政策転換の背景と懸念
古謝氏が得た知事選での過去最多得票は、物価高騰など県民生活が厳しさを増す中で、政治の変化を求める声があったことは間違いない。だが、既存政策の変更を急ぐあまり、県民利益を毀損しないかを検討する手続きの慎重さや、行政の継続性がおざなりになるようではいけない。
多くの県民にとって新知事の政治手腕は未知数でもあり、政策変更や国との協議にあたって県民への丁寧な説明と情報開示はより重要となる。
オスプレイ配備容認と情報公開停止
古謝知事は就任翌日の10月1日に「辺野古新基地建設問題対策課」を廃止。米軍普天間飛行場に所属する垂直離着陸輸送機オスプレイについても「配備撤回は求めない」と明言し、歴代知事が反対してきた県の立場を転換させた。
いずれも普天間飛行場の名護市辺野古への移設を「容認」する立場での政策方針だ。前県政で使用してきた「新基地」の用語を使わないなど、新県政の方針と整合をとることは理解する。
ただ、オスプレイの配備容認は選挙中に明示していたとは言いがたく、安全性の懸念は残っているとして12機程度の県外移駐は引き続き政府に求めていくとするなど、考え方の説明が事後的になっている印象だ。
行政文書の適切な公開を
性急な政策転換の影響が懸念されるのが、辺野古新基地建設問題対策課が発信していたウェブページなど94件と、基地対策課で発信していた「Q&A Book」の質問の一部の公開を停止した対応だ。県は前県政の考え方や主張が含まれるために整理の上、再び公開するとしている。
これに対して名護市議会は、前県政下で作成・公開された基地関連資料等の適正な保存と県民への情報提供を求める意見書を全会一致で可決した。移設先自治体として名護市議会の中には辺野古移設の容認、反対の立場があるが、行政資料の適切な保存・管理、適切な情報の提供を求めることで全議員が一致した。
行政文書は公共の財産であり、組織改編や政策方針の変更にかかわらず、客観的な公開運用が維持されなければならない。そこに与野党や移設の是非は関係ないのだ。
県は新設の「早期返還対策室」のウェブページを10月27日に開設し、ウェブページなど9件が再公開された。だが今後はどの程度の資料が再公開されるかは不透明だ。これまでの沖縄県の取り組みや政策決定過程を検証するためにも、過去の公開資料や裁判記録は県民が利活用できるようにすべきだ。行政文書の公開と非公開の恣意的な判断や、住民に知らせぬまま行政文書をさかのぼって改変することはあってはならない。