<社説>新聞週間 民主主義守る役割果たす 信頼される報道機関へ
<社説>新聞週間 民主主義守る役割果たす

新聞週間が15日に始まった。戦後の新聞は、国と一体となって戦争に突き進んだ反省から出発した。権力を監視する報道機関としての使命を自覚しながら、日々のニュースを届けていきたい。

新聞の信頼度はトップも読者離れ続く

インターネットの普及に伴い、新聞を取り巻く環境は大きく変化しつつある。総務省がことし6月にまとめた「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、2025年の平日のメディア別平均利用時間は、インターネットが最多の183.9分、テレビが156.1分で続いたのに対し、新聞は8.8分に過ぎない。若い人ほど新聞を読まない傾向にある。

一方でメディアの信頼度は「信頼できる」とした人が、新聞が58.8%でトップ、テレビ57.9%、インターネット26.3%だった。信頼される媒体の地位を守っているが、各紙とも読者離れに悩んでいるのが実情だ。

SNS時代のファクトチェックに注力

各紙ともウェブでの速報に力を入れ、新たな媒体の在り方について試行錯誤を続けている。読者は新聞に何を求めているかを考え、それに応えるべく変化していく必要に迫られている。交流サイト(SNS)などインターネット空間には、真偽不明の情報があふれている。中傷動画も大量に発信され、社会問題となっている。

9月の沖縄県知事選では、告示から投票終了までに動画サイトのユーチューブに投稿された関連動画は7819本。再生数上位100本のうち、発信元が沖縄県内と分かるものは3本だけで、県外発信が59本、残る38本も県外発信の可能性が高いものが多かった。

本紙は知事選期間中、SNSの動画検証に力を入れ、11本の記事を掲載、18の言説を検証した。県外から差別的な投稿や陰謀論を拡散するような投稿が大量に広がる中、事実が何かを検証するファクトチェックの取り組みは、新聞の価値を高め、読まれる新聞につながるものだろう。

民主主義の基盤を守る責務

松江市で開かれた新聞大会は決議でウクライナなどで武力の応酬がやまない状況に「戦後の国際秩序は危機に瀕(ひん)している」と指摘、新聞には「民主主義の維持と発展に寄与する役割が求められている」とうたった。日本新聞協会の中村史郎会長はあいさつでロシアで北海道新聞記者がスパイ容疑で拘束されたことに言及し、記者の解放を求めるとともに取材と報道の自由を訴えた。米国でも報道機関に対する政権の圧力が強まっている。民主主義の基盤となる知る権利が脅かされる状況は受け入れることができない。

沖縄周辺では、政府が進める「南西シフト」で防衛体制強化の動きが続いている。米軍基地と併せて、安全保障を巡る状況と市民生活への影響を追い続けることは、沖縄のメディアに求められる重要な役目だ。新聞週間の機会に、二度と戦争のためにペンを取らないと誓った出発点を改めて肝に銘じたい。そして県民の目線で、民主主義を守る報道機関の役割を果たしたい。

出典:ryukyushimpo.jp