2013年以来13年ぶりとなる沖縄政策協議会が6日、首相官邸で開かれた。政府と県が沖縄振興や米軍基地の負担軽減などを話し合う協議の枠組みが再開したことは、沖縄の課題解決に向けた前進と捉えたい。
古謝玄太知事は国との協調によって公約実現を図るとした以上、政策協議会を沖縄の不満をそらす“ガス抜き”で終わらせてはいけない。特に国の安全保障政策によって沖縄が過度な負担や危険を背負わされる基地問題について、国と県が対等な立場で協議に臨み、目に見える結果を出すことが必要だ。
4分野28項目を要請
まずは古謝知事が求めた米軍普天間飛行場の返還期日の明確化だ。政府が責任ある回答を示せるかどうかが協議会の意義を測る試金石となる。
6日の沖縄政策協議会は木原稔官房長官が主宰し、高市早苗首相と全閣僚が出席した。古謝知事は「県民の強い思いを受けた私が強い決意で取り組む」として、27年度の沖縄関係予算の確保、税制改正、長期的な振興策への支援、基地負担軽減からなる4分野28項目を要請した。
高市首相は沖縄振興策を「国家戦略として推進していくことが重要」と述べ、関係閣僚に27年度予算編成などで対応を検討するよう指示した。茂木敏充外相は、米海兵隊員による強盗殺人事件を受けて日米両政府が米兵の教育充実で合意したと報告した。
過去の経緯と課題
県政発足早々の開催といい、普天間飛行場の辺野古移設を容認する古謝知事への厚遇ぶりが見て取れる。だが、自民党を与党とする県政だった仲井真弘多知事が、沖縄政策協議会で当時の安倍晋三首相に「普天間飛行場の5年以内の運用停止」を求めながら、結局実現しなかった経緯もある。
普天間返還期日について政府側の言及はなかったことや、米軍事件の再発防止策が実効性を持ち得るか不透明なことなど、国と県の協議始動の評価はまだこれからだ。
むしろ、辺野古移設に反対する県政の12年間は対話を閉ざしてきた政府の対応が異常なのだ。国の政策と整合する県政かどうかで恣意的に協議会を運用することは、沖縄の諸問題を政府の責任で解決するという本来の趣旨から逸脱する。
「アメとムチ」の構造
道路予算の恣意的な削減に言及した簗和生前農相の更迭問題は、権力を使って選挙結果をゆがめようとしたことが疑われている。沖縄振興もまた時の県政の基地政策への賛否で予算を増減する「アメとムチ」の構造が指摘されてきた。
沖縄の反発を和らげる取引や脅しの材料として振興策を利用する。そうした利権政治とは決別しなければ、新県政に寄せた有権者の期待は不信へと変わっていくだろう。
高市政権下で進む軍備強化や周辺国との関係悪化は沖縄の負担軽減に逆行し、暮らしや経済の安定を脅かす。古謝県政は「アメとムチ」の論理を拒み、政府にとって都合の悪い話であっても県民益を守る立場で改善要求を伝えていく、毅然とした対応を貫くことだ。