辺野古事故遺族の要望受け、県内修学旅行の安全確保策具体化へ
辺野古事故遺族の要望、県内修学旅行の安全確保策具体化へ

名護市辺野古沖で発生した小型船転覆事故で亡くなった同志社国際高校2年の武石知華さんの両親が10月17、18日に沖縄を訪れ、古謝玄太知事との面談で県内の修学旅行の安全確保に向けたガイドライン整備などを要望した。

遺族が求めた3点の要望

両親は17日の面談で、(1)修学旅行の安全確保と安全管理の実態把握、ガイドラインの整備(2)体験活動を提供する団体の登録の有無や保険の加入状況などを確認できる仕組みづくり(3)沖縄が安心して修学旅行先に選ばれ続けるようにする取り組み―の3点を要望した。父親は「登録のない主体が子どもを船に乗せることが二度と起こらないようにしてほしい」と訴えた。

遺族が求めた「全国の子どもたちが沖縄で学び、たくさんの思い出をもって無事家に帰る。その当たり前のことが確実に行われてほしい」という言葉は重い。県民や教育界、観光業界も同様の願いを抱いている。

知床事故の教訓が生かされず

安全管理を巡っては、2022年に北海道・知床半島沖で発生した観光船沈没事故を受けて海上運送法が改正され、旅客定員12人以下の事業は登録が必要となった。だが転覆した2隻は事業登録がされておらず、運航管理者と安全統括管理者も届け出がなかった。

知床の教訓が沖縄で生かされなかったことは重大な落ち度だ。事故当時のルートや速度、出港の判断が適正だったのかなど、司法機関による捜査を通じて事故原因や瑕疵を徹底して洗い出すことが求められる。運航団体「ヘリ基地反対協議会」も捜査協力や自らの検証に真摯に向き合うべきだ。

業界全体での安全管理点検を

同志社国際高の辺野古海上コースは、キリスト教の牧師だった船長との個人的な関係で始まり、旅行社とは別ルートの手配だった。とはいえ観光業界にとって事故は決して人ごとではない。ガイドライン整備の要請を受けて古謝知事も、県や観光関連団体などでつくる「県修学旅行推進協議会」で議論する考えを両親に伝えた。

レジャー活動や交通機関、宿泊施設や民泊、食事など、学生を受け入れる各所で必要な措置や基準は守られているか。業界全体で安全管理態勢を点検することが必要だ。沖縄の修学旅行で二度と死亡事故を繰り返さないため、新たな独自ルールを整備する必要もあるだろう。

教育の中立性を損なわない議論を

一方で、修学旅行の安全確保と教育の中立性の問題とを一緒くたにしない冷静な議論が必要だ。子どもたちの安全を軽視した船の運航は論外だが、辺野古新基地建設をはじめ沖縄の基地問題を現地で学ぶことは否定される教育内容ではない。

平和学習を危険視するレッテルを貼り、国内にある多様な考え方や歴史に触れる機会を阻むことになってはならない。

出典:ryukyushimpo.jp