公益財団法人沖縄県メモリアル整備協会の東恩納寛寿さんは、「終活」という言葉がまだ世の中に広く知られていなかった時代から、いち早く県内での普及に尽力してきたパイオニアだ。終活カウンセラーとして、さまざまな悩みや相談に寄り添う一方、県内各地で積極的に終活セミナーを開催し、また終活に関わる幅広い分野の専門家とのネットワーク構築にも取り組んできた。
後悔しないための終活
「終活で一番大事なのは、後悔しないこと」と語る東恩納さん。「自分が後悔したら、家族も後悔するんです」と続ける。
東恩納さんの終活の取り組みへの原動力となっているのは、10代の時に経験した愛する母親の死だ。入院中に母親の希望をかなえてあげることができず、感謝の思いも伝えられなかったことで後悔が残ったという。「終活は、元気なうちに後悔の種になりそうなことを一つ一つ解消していくプロセスなんです」と力を込める。
普及への苦労と転機
終活普及の取り組みを始めたのは12年前、38歳の時。「その時は、まだ終活という言葉すら知られていなくて、だいぶ苦労しました」。終活セミナーを呼び掛けるために訪れた施設でも縁起が悪いと言われ、帰されることもあったと振り返る。
自分自身の終活にも取り組んだ。死を意識することで後ろ向きになるのではなく、逆に前向きになり、毎日をよりポジティブに生きられるようになった。
個別相談やセミナー開催などの活動を地道に続ける中、やがて訪れた終活ブームも追い風となり、潮目が変わっていった。「終活は暗いことではなく、必要なことだという意識にどんどんシフトしてきたと実感しますね」。家族観・価値観が多様化し、墓じまいや永代供養など、お墓や葬儀、供養の選択肢が増えたことも、世の中の終活への関心を押し広げた。
専門家ネットワークと支援センター
終活は、お墓・仏壇をはじめ、遺言・相続、保険・年金、介護・終末期医療、葬儀など、多様な分野とも密接に関係する。東恩納さんは、それぞれの専門家とのネットワークを築き、さまざまな悩みや相談に対応できる体制を整えることにも力を注いだ。その成果は、昨年、南風原町兼城にオープンした「メモリアル終活支援センター」に結実した。同センターでは、終活全般の相談に対し、専門家を紹介する役割を担い、終活に関するセミナーや勉強会の場を提供している。
終活フェアで第一歩を
世の中の終活への関心が高まっていく中で、終活セミナーのほか、より多くの人たちが気軽に参加できる「終活フェア」の開催も行うようになった。今月末の27日(日)、豊見城市のイーアス沖縄豊崎で開催される「第6回わくわく終活フェア」(主催・琉球新報社、共催・沖縄県メモリアル整備協会)もその一つだ。
フェアは、入場無料・予約なしで参加可能。東恩納さんら3人の講師による終活や相続についての講演を軸に、「相続」「お墓や永代供養」「空き家」などに関する個別相談会での無料相談、入棺体験ができる。
なかなか終活への一歩を踏み出せない人の背中をそっと押すのも、フェアの目的の一つだ。「誰に相談したらいいのか分からず、ずっとお墓のことで悩まれてた方が、20年の悩みが30分で解消されたと涙を流して帰られたこともありました」と東恩納さんは振り返る。
足を運びやすい商業施設でのフェアは、家族みんなで終活を考える機会ともなる。「親に終活をしてもらいたいけど、誘い方がよく分からないという方にとっては、終活フェアは一緒にスタートするよい機会となります。ぜひ、親子で参加してほしいですね」と東恩納さんは呼び掛ける。
第6回わくわく終活フェアinイーアス沖縄豊崎は、9月27日(日)10時~15時、イーアス沖縄豊崎3階イーアスホールで開催。入場無料、予約不要。問い合わせは沖縄県メモリアル整備協会(0120―202―869)。講演の内容などの詳細は9月23日付け週刊レキオに掲載される。