糸満市のコミュニティーラジオ局「FMたまん」の4代目社長を務める照屋亜紀さん(1999年生まれ)は、3歳から同局の番組に出演し、現在も平日朝の生放送を担当するかたわら、大学院で地域経営を学ぶ。ラジオを通じて人とまちをつなぎ、地域の活性化を目指している。
ラジオとの出会い、3歳からマイクの前に
照屋さんがラジオと出合ったのは3歳の頃。父・信吉さんが創設したFMたまんで、年の近い従兄弟や兄が番組に出演しているのを見て「私も出たい!」と頼んだのがきっかけだった。やがて自身もパーソナリティーとして独立し、小学2年生から毎週日曜日に放送を続けてきた。
「歌が好きだったので、学校で覚えてきた歌を歌っていた記憶はあります」と当時の記事を見てほほ笑む。小学生の頃には友達やバドミントン部の仲間を誘うこともあった。番組名は「チャレンジたまん」「ハッピーたまん」と変わり、大学時代には「ブランチ」に。高校から大学に進学する際の約1年間を除き、基本的に毎週欠かさず声を届けてきた。
医療の道から放送局へ
糸満高校を卒業後、琉球大学医学部保健学科へ進学。当初は医師を目指していたが、健康や人体、人の生き方そのものに興味があり、医学に近い分野で学んだ。大学卒業の時期に新型コロナウイルスが流行。看護師になるための実習で、家族との会話や食事などが厳しく制限される中、「おしゃべり好きな自分がこのまま看護師になったら苦しくなるかもしれない。自分の性格上、病院以外にも生かせる場所があるのでは」と考えるように。そこで正式にFMたまんのメンバーとなり、夕方の帯番組を担当。街を歩き、人と交流しながら放送で話すネタを集める日々が始まった。
卒業後は、放送局に必要な無線資格を取得するため、沖縄水産高校にも通った。日中は制服を着て高校生と一緒に学び、放課後はラジオの生放送という2年間を経て、国家資格である「第二級陸上無線技術士」の免許を取得した。現在は沖縄大学大学院の現代沖縄研究科で地域経営を専攻。コミュニティーや地域経済、法律、自治体との関係などを学びながら、コミュニティー放送の役割について研究している。
ラジオでまちを元気に
昨年6月、FMたまんの4代目社長に就任した照屋さん。平日の朝7時から10時までの帯番組「いちまんがいちばん!うきみそーち」を担当し、夕方には大学院へ通っている。「よく『コミュニティー放送の役割は防災』といわれますが、聞かれないと役に立ちません。まずは楽しく日常生活に役立つ放送を心がけて、そこに少しずつ防災や行政の情報を入れていく。誰もが楽しく聞ける、聞いてもらえるというところが一番重要だと思っています」と話す。
FMたまんでは朝7時から夜10時まで、ほぼ全ての時間帯で生放送。ラジオブースには電話が設置され、リスナーからアポイントなしで電話がかかってくることも特徴だ。認知症で迷子になったお年寄りや、逃げた犬を捜してほしいという連絡が入ることもあるため、放送ブースにはあえて鍵をかけていないという。
昨年、糸満市場いとま~るで行われた公開放送は、「市場を活性化し、地域の歴史や文化を伝えたい」という思いから照屋さんが企画してスタートした。糸満の漁村文化や市場を支えてきた人々の歴史を知ってもらい、地域の人が思いを寄せる場所として残していきたいという。
3歳からマイクの前に立ち、今は地域の未来を考える立場となった。ラジオを通して人と人をつなぎ、「この街で皆さんが楽しく生きていける、糸満のこの街にずっと住み続けられるように、そのサポートができれば」。それが、照屋さんが描くFMたまんのこれからだ。