南城市つきしろに、焼きサバずしだけを販売するテイクアウト専門店が昨年4月、滋賀県出身の松井ひとみさん(69)が自宅を増築して開いた。メニューは焼きサバずしのみ。数量限定で、なくなり次第終了となる。
30年を超えるサバずし歴
松井さんのサバずし歴は30年を超える。滋賀県で民宿を始めた頃、塩と酢で締めたサバを米に合わせる伝統郷土食を「近所のばあさんたち」に仕込まれた。春夏の祭りでは親戚中にサバずしを配る習わしがあり、民宿の客にも朝晩振る舞い、地元の道の駅にも卸して評判を呼んだ。
「うちの近くを『サバ街道』というのが通ってて。福井の小浜市で取れたサバにひと塩して、女性たちが背中に担いで、駅伝みたいに京都まで運んだんです。だからサバ料理、たっくさんありますよぉ」と松井さんは話す。
素材へのこだわり
江戸時代から続くサバずしは2000年ごろ、ぱっとタレに付けて香ばしく焼く「焼きサバずし」に進化したとされる。松井さんが使うサバは脂の乗ったノルウェー産で、焼いても固くならない。米は近江米コシヒカリをふるさと滋賀にある自分の田んぼから直接取り寄せ、店で精米している。
「そばに琵琶湖があるでしょう? 近畿の水がめ。だから農薬がすごく厳しく制限されてるんですよ」と松井さん。減農薬栽培だけに、精米時に出る米ぬかもごちそうになる。塩や水を加えて発酵させれば「ぬか床」の完成で、自家製のぬか漬けをおまけする日があり、米ぬかもプレゼントしている。
人と人をつなぐ味
「固いミニトマトを漬けたらおいしかったとか、山芋もいいとか、皆さんいろいろ言わはりますね」と松井さん。その関西弁で気持ちがほぐれ、幼少期を大阪で過ごしたという人が生き生きと話し始める日もあるという。「サバ街道」が海を超え、南城で人と人をつないでいる。
【お店データ】木曜定休。11月9~14日は臨時休業。営業時間は正午~午後5時で、なくなり次第終了。支払いは現金のみ。住所は南城市つきしろ1232の20、電話070(1744)1418。