米海軍調査、ニューオーリンズ火災は人為的原因と断定 損害額1200万ドル
米海軍調査、ニューオーリンズ火災は人為的原因と断定

2025年8月20日に沖縄県うるま市のホワイトビーチ海軍施設沖で発生した米ドック型輸送揚陸艦「ニューオーリンズ」の火災について、米海軍の調査報告書が、火災は人為的な行為(放火や無許可の喫煙など)によるものと断定した。また、乗組員の初期対応の不備が延焼を招き、消火に40時間以上かかったことも明らかになった。損害額は約1200万ドル(約18億円)と見積もられている。

調査報告書の内容と原因の特定

沖縄タイムスが米情報公開法(FOIA)で入手した46ページの調査報告書によると、火災はニューオーリンズ艦内6階の衣類やヘルメット、トイレットペーパーを保管する倉庫から発生した。海軍犯罪捜査局(NCIS)は、気象や電気系統の故障を原因から除外し、「火災は意図的または過失による人為的な行為(放火、無許可の喫煙・電子タバコ、無許可の危険物保管など)によって引き起こされた」と結論付けた。

NCISの捜査で、倉庫付近での無許可喫煙の噂を証言した乗組員がいたが、後に否認した。報告書が作成された2025年10月20日時点で、NCISの調査は継続中であり、2026年6月時点でも最終報告書は未提出だった。沖縄タイムスは米海軍に最新情報を問い合わせている。

消火活動の遅れと被害の拡大

海軍の調査は、乗組員の初期対応を「初期消火の複数の機会を逃した」と批判した。倉庫内で段ボール箱が高く積まれスプリンクラーを妨げたこと、エアゾール缶などの無許可危険物が存在したこと、乗組員が火元の特定と消火に時間がかかったこと、艦の消火設備に関する知識が不足していたことの3点が主な要因として挙げられた。

初期火災の消火には11時間かかり、その後も再燃が続き、鎮火が宣言されたのは2025年8月22日午前8時51分、火災発生から41時間半後だった。6つの甲板に熱と煙による損傷が及び、多くの機器が使用不能となった。日本地域整備センターは修理費用を1200万ドルと見積もった。

艦の状況と環境への影響

ニューオーリンズ(LPD 18)は全長210メートル、排水量2万5000トンの輸送揚陸艦で、長崎県佐世保を拠点とする。火災当日は沖縄東海岸沖に停泊中で、343人の乗組員と海兵隊員が訓練に従事していた。

調査では、火元の下の甲板の部屋が泡消火剤(AFFF)で「浸水し、汚染された」と報告された。AFFFには発がん性を含む重篤な健康被害を引き起こす可能性がある有機フッ素化合物(PFAS)が含まれており、米国防総省は陸上施設ではPFAS含有AFFFの使用を段階的に廃止しているが、艦船での使用は除外されている。沖縄タイムスは米海軍に、事故で放出されたAFFFの量や被曝した隊員の数、環境への流出の有無を問い合わせている。

幹部交代と再発防止の課題

調査は、火災前の1か月間に副長と補給士官が不正行為で一時的に更迭され、危険物管理を含む艦内プログラムが「混乱状態」にあったと指摘した。報告書の結論で、クリストファー・アレクサンダー海軍少将は艦長、機関長、損傷管理士に対する適切な行政処分を勧告したが、いずれも現在の職務遂行能力に疑問を呈するものではないとした。

一方で、報告書はニューオーリンズの乗組員と消火活動に参加したサンディエゴの乗組員を「勇気と回復力」と称賛した。11人の乗組員が功績を認められ、1人の船体整備士は煙の中で行方不明になった隊員を救助した功績で海軍・海兵隊功労勲章を授与された。上級医務官は中程度以上の負傷者はなかったと報告したが、軽傷者については記録がなく正確な人数は不明とした。米海軍は事故直後、2人の水兵が軽傷で治療中と発表していた。

近年、米海軍艦艇では大規模な火災が相次いでいる。2020年にサンディエゴ海軍基地で発生した強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」の火災では、保管区域から出火し4日以上燃え続け、修理費は最大32億ドルと見積もられ、最終的に廃艦となった。この火災では1人の水兵が放火容疑で起訴されたが、後に無罪となっている。